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「ハンガリーに”ナイスゲーム”と褒めてしまう、日本人のメンタリティこそが問題なのかも」EURO2016 ベスト16 ハンガリー-ベルギー

昨晩はイタリア対スペイン、そしてイングランド対アイスランドという注目の試合があったんだけど、平日だし睡眠不足に弱い体質なのでライブで見ることは諦め、昨日行われたハンガリー対ベルギーの試合を泣く泣く選択。

この試合については、Twitterなどネットでの評判では「ハンガリーは最後に力尽きたけど、ベルギーを相手に良く健闘したナイスゲーム」という意見が多くてハンガリーがどんな試合をしたのか楽しみだったんだけど、期待しすぎたせいかもしれないが正直言って失望のほうが大きかった。

ハンガリーのフォーメーションは、ネットのスタッツを見ると4-2-3-1だが、実質はナジがアンカーになってゲラがインサイドハーフに上がった4-1-4-1。しかし守備はそれほどコンパクトというわけではなく、2列目のプレスをかける位置がバラバラで、アンカーのナジはバイタルを監視するというよりは、2列目が動いて開けた穴を埋めるフリーマンのような役割になっていた。

当然、そんな守備でベルギーの攻撃が止められずはずはなく、アザールやデ・ブライネはやすやすとDFラインと中盤の間に入り込み、先制点自体は前半の10分にFKからアルデルヴァイレルトがヘディングで決めたものだが、それまでにルカクとデ・ブライネがPA内から3本のシュートを放っており、前半だけでベルギーが放ったシュートは実に16本。キラーイおじさんの奮闘とベルギーの決定力不足のおかげで1点で済んだものの、普通なら3点は決められている展開だっただろう。

後半に入ってしばらくは同じようにベルギーのペースは続いたが、20分を過ぎるとベルギーに攻め疲れが見え始め、ハンガリーはトップ下にシフトしたエースのジュジャクにボールを集め、ロヴレンチチュやサライに惜しいシュートが生まれる。が、ハンガリーの奮闘もそこまで。後半33分にGKからアザールがオフサイドラインをくぐり抜け、クロスを完全などフリーになっていたバチュアイがやすやすと決めて2点差にすると、集中力が切れてハンガリーに得点を積み重ねて最終的には4-0で試合終了。

初戦のイタリア戦を見た時には、何でトップ下としてはワールドクラスのデ・ブライネをサイドに置いて、フェライニを起用するのかのか疑問に思ったが、さすがにヴィルモッツ監督もその愚に気づいたようで、2戦目からデ・ブライネを中心に据えて快進撃。とは言え、膨大な決定機の数にしては後半33分にやっとこさ2点目という決定力は問題で、まだ優勝本命に挙げるとこまでは行ってないかな。中央の守備はそれなりに固いけどサイドには弱さがあるので、次のウェールズ戦ではベイルの突破を止められるかどうかが鍵だろう。

ハンガリーは、トライアングルを作ってのパスワーク、サイドを使ったワンタッチコンビネーションによる抜け出しなど、攻撃面ではアグレッシブで見ていて楽しいチームだったが、どれだけ攻め込んでも肝心なところでシュートが決められず、守備が薄くなったところで集中力を切らせてあっさり失点する姿は、まるでどこぞの島国そっくりだとも言える。

確かにドイツと対戦したスロバキアのように、引きこもって何も出来ずに0-3で負けるよりかはマシだろうし、実際にライブで試合を見ていたらハンガリーの肩を持ったかもしれないが、そんな「自分たちのサッカーを出しきって負けた」という姿勢にいつまでも満足していて良いのだろうかと疑問に思うことも事実である。すぐにイタリアの真似が出来るとは思わないが、自分たちのサッカーどうこうじゃなくて、相手を研究しつくし、戦術的に全員がやるべき事をやるサッカーが評価される国になって欲しいと痛切に思う次第である。

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