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「彼らに必要とされているのは、肉体的な部分以外のスタミナ」U-16インターナショナルドリームカップ U-16日本-U-16マリ

インターナショナルドリームカップの2戦目は、この世代では世界トップクラスの実力を誇るマリが相手。U-16日本にとっては真価が問われる試合である。

試合の序盤は、日本が思ったよりもマリのプレッシャーをいなしてボールを繋げることが出来ていて、これは日本もやれるんじゃないかと思ったのだが、20分ぐらいからマリにエンジンがかかり始めると、そういう楽観は吹っ飛んでしまった。

日本のフォーメーションは変わらぬ4-4-2で、同じフォーメーションのマリは守備時に日本のSHとボランチに対してほぼマンマークのような形で対処して来た。とは言えさほどガツガツのマンマークではないので、日本の中盤もビルドアップから前を向けるのだが、一瞬でもパスの出しどころに迷ったり、漫然とドリブルをしたりするとあっという間に相手の足が入って来て、競り合いになるとそのままゴリゴリと力づくで突破されてしまう。

そんな中で比較的上手く対処できていたのは、平川と久保。平川はマリのプレッシャーを楽しむように、相手が飛び込む逆を取ってフェイントでいなし、そこから確実にパスを繋いでいた。そして久保は、前を向いていったんボールを晒し、相手がそれに釣られたところで小さく逆へボールを動かし、相手の足をそれで止めてから大きく動かしてからパスというように、リーチの短さを感じさせないクレバーな対応はさすがに経験値が高いと唸らされた。

そして久保は38分に、右サイドに抜け出してフリーでボールを受けると、そこからアウトサイドと浮き球のフェイントを繰り出して2度相手を翻弄すると、最後は浮き球のクロスを中央に送り、平川がボレーで叩きつけたボールがゴール隅に飛び込んで日本が先制点を挙げる。

しかし後半になるとハーフタイムでマリは監督に絞られたのか、より日本に鯛してフィジカルな圧力を高めて来ると、後半7分にGKからのフィードをインターセプトしたサマケがドリブル、日本は最初のアタックを股抜きされると、その後2人の選手がプレスでかぶってしまい、そのまま抜けだされて同点。日本は痛い守備のミスが出てしまう。

そして11分には、中央でのワンツーを日本の10番福岡が軽い対応であっさり見送ってしまうと、相手の突進は何とかゴール前で止めるのだが、勢いが違う分こぼれ球は日本のゴールへ転がり、最後はケイタに押し込まれてしまった。

日本は逆転されてから、久保をトップ下にして喜田をインサイドハーフに上げた中盤ダイアモンドの4-1-3-2にするが、肝心の久保のところにまでなかなかボールが届かず、FW陣は相手の守備が強いことに加え、日本が相手のリーチに負けないようにと強いパスを出して来るのでトラップのミスが多く、後半はほとんどシュートが打てないままタイムアップ。1-2という点差以上に課題が残る試合になってしまった。

U-16は森山監督になって、好守におけるインテンシティが向上して日本ユース年代に顕著だったひ弱さが随分解消したかに思われたのだが、この試合では前半はまだ力強さが感じられたものの、相手の力強さに疲れてしまったのか、後半になると飛び込んで交わされたり、後追いの守備になってしまったりと後手に回る対応が目立ち始め、攻撃でも短くて弱い横パスやバックパスが増えて、ついいつもの「地の姿」が出てしまったと言える。どんな相手でも前半のサッカーを90分続けられるかが、これから当面の目標だろう。

とは言え、前述の平川や久保についてはある程度自信を深める試合になっただろうし、セレッソ所属の6番喜田も判断の悪さや遅さは多いがフィジカルの強さとセンスは見せたし、GKとの完全な1対1を止めた谷を始めとする守備陣の粘りも良かった。FW陣は要反省だけどね。

インターナショナルドリームカップ最終戦となるメキシコ戦は、明らかにマリよりも劣る相手。ここはきっちり勝って、さらに自信と経験を上乗せした状態で締めくくってもらいたい。

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