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「注目の久保建英君が放つ、バルサからのメッセージ」U-16インターナショナルドリームカップ U-16日本-U-16ハンガリー

ユーロのグループリーグ最終節たけなわの時期だが、ちょっとユーロに飽きたのと昨日のイングランド戦でガッカリしたのもあって、BSスカパーでやっていた「U-16インターナショナルドリームカップ」の、日本対ハンガリーの試合を見てみた。

U-16代表は、個人的にとても評価している森山監督が率いているのと、未成年問題でバルサのカンテラからFC東京に移籍し、まだ14歳という年齢ながら飛び級でU-18チームに入った久保建英君が入っているという事で、やはり一度しっかり試合を見てみたいと思った次第。

日本もハンガリーも同じ4-4-2のフォーメーションという事で、自然とデュエルが繰り返される試合になったが、日本は序盤こそハンガリーの高さとフィジカルでマークを剥がされ、パスを繋げられる展開になって決定機を与えてしまったりしたが、ハンガリーが高く上げて来たサイドのスペースを日本が上手く使いはじめると、12分に左サイドでのドリブルからパスを受けた棚橋がトラップで浮かしたボールを蹴りこんで先制すると、19分には相手のミスから中村が右サイドを駆け上がり、切り返しから狙いすましたシュートを決めて2点目。23分には久保のノールックパスから桂がオーバーラップ、クロスを上月が押し込んであっという間に3点を奪う。

日本は29分にPKを与えてしまって3-1とされてしまい、後半になって選手を交代するとややコンビネーションが落ちてしまい、ゴール前で上手く攻め切れずハンガリーにカウンターを何度か許してしまうが、何とか最後は体を張って失点を防ぐと、ようやく後半ロスタイムに左サイドからPA内に侵入した平川の落としを成瀬がシュート、ボールはポストに当たったが跳ね返りを棚橋が押し込んでダメ押しの4点目。そして試合はそのまま4-1で終了した。

ハンガリーの勢いが最初のみだったとは言え、日本は本来のレギュラーCBである瀬古、小林が不在らしく、その割には代わりで入ったメンバーが彼らの不在を感じさせない働きを見せたし、何より体格面で上回る相手にも各選手が果敢に体をぶつけてデュエルを厭わない姿勢がこの勝利を呼び込んだ事は間違いない。

今でこそハリルホジッチによって脚光が当たっているけど、もともとデュエルとはトルシエが持ち込んだ概念であり、それを川淵氏がフラット3の戦術ごと闇に葬り去った後、「自由とイマジネーション」という合言葉のもとに守備戦術を軽視したカオスが始まり、バルサとスペインを表層だけなぞってリオ五輪代表に何ももたらさなかった吉武ジャパンという奇形パスサッカーを生み出して有頂天になっていた暗黒時代を考えると、随分回り道をしたけど何とかここまで持ち直してきたかと感慨深い。

日本はフィジカルが弱いからパスサッカーで世界と対抗、みたいな考えはジャンケンでパーを出すスピードを鍛えているようなものであり、親善試合なら通用しても相手が日本をしっかり研究してくるW杯のような舞台では、あっさりチョキを出されて負けてしまうというのはブラジルW杯で思い知ったはずで、結局日本が成長するためには、長所を伸ばす以上に短所を埋めていく地道な努力から逃れることは出来ないのだ。

と、話は少々脱線してしまったが注目の久保君のプレイについて。ボールタッチの繊細さやボールを持った時の姿勢の良さ、首を振って周りの状況を常に把握しようとするところは、さすが基本的な部分について一段上のタレントだなと感じさせた。この試合では結構誰もいないところにパスを出してしまうミスが多かったが、それは判断の誤りというよりは、サイドの裏やCBとSBの間など、本来そこに選手が走っているべきスペースについ出してしまった感じで、中田のようなはっきりした意思は無いだろうが、「バルサならそこに選手がいるよ」という声が聞こえるようなプレイだった。

日本の次戦は、初戦で相手がU-15とは言えメキシコに3-0と圧勝し、この世代ではワールドクラスの強さを見せているマリ。ハンガリーよりも1枚上手の相手に、日本の選手がどこまでデュエルで負けない姿勢を見せてくれるのか楽しみである。

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