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「アルバニアだって戦術が統率されているからこそ試合に勝てる」EURO2016 グループA ルーマニア-アルバニア

昨日の深夜から始まったグループリーグ最終節。もちろん仕事がある身で毎日生観戦など不可能なので、昨晩はグループAのフランス対スイスを見ようかと思ったけど、得点が入らない塩試合だったようなので、アルバニアが初出場で歴史的勝利を挙げたルーマニア戦を見てみた。

フランス戦ではほとんどの時間を守り倒さざるを得なかったルーマニアだが、勝利が必要なアルバニア戦では最初から攻勢に出た。アルバニアの4-1-4-1フォーメーションに対し、ルーマニアはアンカーの脇に出来るスペースを使って縦パスを入れたり、ロングボールで前線に基点を作り、中盤がセカンドボールを拾って波状攻撃を仕掛ける大陸サッカーで、前半10分まで4本のシュートを放ってアルバニアを圧倒する。

しかしそこでルーマニアが点を決めきれないうちにアルバニアも守備を修正して来て、SHがアンカーの位置まで下がってサイドのスペースを埋める事でルーマニアの攻撃を受け止め、中盤では守備の1対1を仕掛けて粘り強くルーマニアの攻撃を寸断、ボールを奪ったらSBが高い位置を取るルーマニアの裏を取ってサイド攻撃を仕掛け、徐々にチャンスの数を増やして来る。

すると前半43分、それまでずっと押し込んでいたルーマニアの攻撃からアルバニアにボールが移り、ファーサイドに逃げる動きをしたアルバニアのサディクに素早くアーリークロスを入れると、これにルーマニアGKタタルサヌが飛び出すもボールに触れず、ヘディングしたボールがゴールに落ちてアルバニアが貴重な先制点をゲットする。

これで負けるとグループリーグ敗退が決定してしまうルーマニアは、後半から選手を次々に投入して攻勢に出ようとするが、アルバニアはラインこそ高くは保てないものの、中盤が運動量を落とさずルーマニアの攻撃にプレスをかけ続けて連続したパス攻撃を許さない。ならばとルーマニアは、バイタルエリアを強引なドリブルで崩そうとするも、何度かあったFKは壁にぶち当て、せっかく味方がフリーで走り込んでいてもドッカンミドルばかり放ってみすみすチャンスを放り出してしまう。

逆に終盤にはカウンターからアルバニアに何度か決定的なチャンスはあったが決めきれず、試合はそのまま1-0で終了。グループリーグの結果はルーマニアが勝ち点1の最下位で敗退、アルバニアは勝ち点3の3位でグループリーグ突破に望みを繋げるものの、上位4チームの中に入るのはやや厳しいかもしれない状況になった。

ルーマニアとアルバニアでは、ややルーマニアのほうが戦力的に上だったのは確かだが、全員が惜しみなく走って戦術的に統率されていたアルバニアと、最後はコンビネーションもクソも無く個人プレイに突っ走って自滅したルーマニアとの対照的な姿が印象に残る試合だった。アルバニアは決勝トーナメントに残って旋風を巻き起こすほどの存在ではないが、簡単に勝てると思ったら痛い目に遭うチームなのは間違いない。

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