セリエAの低迷とスター不足、代表の主力であるヴェッラッティとマルキージオが怪我で不出場というのもあって、大会前はほとんど優勝候補としては見られていなかったイタリア。
しかしこういう低評価の時ほど、欲が無くなって団結力が高まるのがイタリア代表であり、私もダークホースの一角として挙げていたのだが、まさにそれを証明するような試合内容だった。
イタリアのフォーメーションは3-1-4-2で、コンテ監督がユベントス時代に敷いていた守備組織であり、キエッリーニ、ボヌッチ、バルザーリの3バックとGKブッフォンはまんまユベントスの守備陣で、クラブで培われたコンビネーションと組織を持ち込んだ。その完成度は、Twitterに上がっていた動画を見ると非常に良く分かる。
イタリアの守備ブロック。pic.twitter.com/VMfFLJ5XBV
— CalciAmici Giappone™ (@CalciAmici) 2016年6月13日
3バックでベルギーの3トップをマークし、WBとインサイドハーフ、アンカーがマークを受渡しながらバランスを崩さずゾーンを動かして行く。それでもベルギーが個の力でマークを剥がす場面はあるのだが、そんな時でも落ち着きを失わず、素早く他の選手がカバーしてゾーンとマークを整える。
ベルギーはイタリアのマーキングの巧みさのせいもあるのだが、各選手の動き出しが無くて足元でボールを繋ぐ攻撃が多く、サイドでアザールやデ・ブライネがドリブルにトライしてもイタリアの選手がすぐ間合いを積めるので、結局横パスからクロスを上げるような攻撃しかできない。
逆にイタリアは、ボールを奪ったら必ずベルギーの守備が薄いファーサイドの選手が走っており、短いパスやドリブルでこねくり回すような形がほとんど無い。確かにそれはある意味単調で成功する回数も少ないのだが、平然とやり続けるのもイタリアの強みで、32分にジャッケリーニの飛び出しにボヌッチのパスがピンポイントで通った得点も、その愚直さが実ったものだった。
それでもベルギーは、追加点を狙うイタリアのチャンスをGKクルトワがファインセーブで凌いぎ続けて挽回を待つのだが、後半8分にカウンターからフリーになったルカクのシュートは枠を外れ、36分のCKの流れからオリジが放ったヘディングがバーの上と決定機を物に出来ない。そしてロスタイムにカウンターからペッレにボレーを叩きこまれて万事休す。
ベルギーは前評判ほどの結果は出せないだろうと予想していたが、それにしてもイタリアに比べてあまりにもチームとしての体を為していない。今一番脂が乗っているデ・ブライネじゃなくて、結果を出していないフェライニをトップ下で起用する采配も謎。コンパニのいないDFラインも統率が取れておらず、ここから巻き返すのは容易じゃないと思うが、果たして次選はどうなるだろうか。
イタリアはいかにもな試合運びで快勝したが、イエローカードを3枚もらってしまったのが懸念点。選手をユベントスのメンバー中心にまとめているので、出場停止等で揃わなくなって来た時にどうカバーしていくか。優勝を目指す上では、エル・シャーラウィのようなタレントを上手く使って攻撃的な試合も出来るようにならないとなかなか難しい。どちらも違う意味で次戦が注目だろう。