旧閑ガゼッタ

「百戦錬磨のアトレティコさえ狂わせる、チャンピオンズリーグ決勝の魔力」UEFAチャンピオンズリーグ 決勝 レアル・マドリー-アトレティコ・マドリー

一昨年と同様に、マドリー・ダービーのカードになった今年のチャンピオンズリーグ決勝。

試合は気温27度という蒸し暑い天候の影響か、どちらも慎重な滑り出しで始まった。特に意外だったのがレアルの戦い方で、あまりラインを高くしないでアトレティコがボールを持つと、攻撃時の4-3-3からシフトして4-4-2のような形でブロックを作って待ち受け、アトレティコがサイドで基点を作ったところで素早くカゼミーロがカバーしてボールを奪う形が徹底されていた。

そのため、アトレティコは自らが不得意な形であるボールを持つサッカーをせざるを得なくなり、しかし4-4-2で両SHはレアルがボールを持つと低い位置まで下がる事が多いためピッチをワイドに使った攻撃が出来ず、そんなに強固なわけではないレアルの守備ブロックをなかなか崩せない。

すると前半15分に、左サイドからのFKをベイルが頭でそらし、中に飛び込んだセルヒオ・ラモスとアトレティコGKオブラクが交錯するとボールはゴールの中へ。セルヒオ・ラモスのポジションはオフサイドに見えたが認められ、レアルが先制点を奪う。

そこからはアトレティコも攻撃のペースをアップさせ、パスではなかなか崩せないのでドリブル突破を交えてレアルを攻め立てるものの、グリーズマンがブレーキで決定的なシュートがことごとく決まらない。トドメは後半開始早々のぺぺがトーレスを倒したPKで、グリーズマンのキックはクロスバーを直撃してこれもゴールにならない。

しかし後半からシメオネ監督は手を打ち、それまでの4-4-2から攻撃時にはボランチの1枚が上がる4-1-4-1のような形にシフト、これでアンカーからレアルのゾーンの間に入った選手にパスが供給されるようになり、レアルもカルバハルが怪我で退いたのもあって試合はアトレティコのペースに傾き、サイドから何度もチャンスを作るがやはりシュートが枠に飛ばない。逆に、攻め疲れたアトレティコに対してレアルのカウンターチャンスが増え始め、ベイル、マルセロ、クリロナが立て続けにシュートを放つがオブラクにセーブされてこちらも得点ならず。

そして試合が動いたのは後半24分、アトレティコが右サイドでのキープからワンツーでサイドを抜け出し、グラウンダーのクロスをファーサイドに飛び込んだカラスコが体制を崩しながら押し込んで同点に。その後は両チームの足が止まって、互いに自陣ゴール前にブロックを作る相手をどう崩すかというサッカーになって、そうなると個人技に勝るレアルが優勢になるが、アトレティコも体を張った守りでゴールを許さず試合は延長戦に。

延長戦になるとさらにレアルが優勢になり、30分間で実に8本のシュートを放つが崩しきるまでの余力が無いのかほとんどがアトレティコ守備陣のブロックにあって得点ならず、試合はとうとうPK戦へ。PK戦ではアトレティコGKオブラクの動きが何故か弱々しく、ゴールマウスの中に突っ立ってフェイントも無しに左右に動く反応をレアルの選手に見ぬかれてスイスイと逆に決められてしまう。対するアトレティコは4人目ファンフランのキックがポストに当たり失敗。レアルは5人目のクリロナが決めて試合終了。レアル・マドリーが”ウンデシマ”、チャンピオンズリーグ11度目の優勝を飾った。

ここまで鉄壁の守りと強力なカウンターで勝ち上がって来たアトレティコだったが、レアルが守りに出て来たためにシメオネ監督が嫌うポゼッションを強いられ、頼みの決定力もグリーズマンが不発と、肝心なところでらしさを出せなかった内容になってしまったのは悔いが残るところだろう。逆にレアルのジダン監督は、そのカリスマでベイルとクリロナに守備をさせつつ、イスコとバスケスを早めに投入する大胆起用と、大一番に強いスーパースターらしい采配が光ったと言える。