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「長い目、いや短い目で見てもこの敗戦はミランのためになるのかもしれない」コッパ・イタリア 決勝 ユベントス-ACミラン

せっかくミハイロビッチ監督のもとで成績が安定して来たと思ったら、リーグ終盤になって怪我人や主力選手の疲労で勝てなくなり、そこでミラン名誉会長ベルルスコーニの逆噴射が発動し、ミハイロビッチをクビにして傀儡のブロッキ監督を就任させるも、ベルルスコーニお気に入りの4-3-1-2なんぞ当然機能せず、その後は2勝2敗2分けとリズムを取り戻す事が出来ずにリーグ戦でのヨーロッパリーグ出場権を逃したミラン。

最後の手段はコッパ・イタリアでの決勝でユベントスに勝利する事だったが、ここでそれまでベルルスコーニの傀儡に徹していたブロッキ監督は、もうここで結果を出すしか続投の可能性がないと開き直ったのか、それまでの4-3-1-2フォーメーションを捨て去り、1トップのバッカの下にボナヴェントゥーラと本田、中盤をポーリ、モントリーヴォ、クツカの3枚にした4-3-3を起用して来た。

この戦術のポイントは、ポーリとクツカという労働者を左右に並べ、アンカーにパサーのモントリーヴォを置いた事で、ミランがボールを持つとインサイドハーフのポーリやクツカがすぐさま動き、本田がサイドでボールを受けると中へフォローに回ったり、本田をオーバーラップしたりと忠実にパスコースを作っていた。本田にはユベントスのWBエヴラがキッチリマークしていたが、本田が中に入って空いたスペースをカラブリアやクツカが使う事で、上手くプレッシャーを回避できていた。

守備でも、ポーリとクツカは確実にポグバとルミナという攻撃のキーマンをマークしてくれるので、本田がプレスバックでポグバからボールを奪ったり、エルナネスやキエッリーニにプレスをかけたりで、ユベントスの中盤でのパスワークを上手く寸断、試合の前半はユベントスに1本もシュートを打たせないぐらい、ミランが攻守においてユベントスの出来を上回っていた。

ただ、残念なことにミランには決定力が無かった事で、本田がサイドでボールを溜めて、シュート練習のように優しいグラウンダーの折り返して出してみても、ポーリやクツカがそれを見事にふかしてしまい、それに釣られてか本田もPA内でのシュートを打ち上げてしまったりと、チャンスがことごとく点に繋がらない。

後半に入ると、さすがにミランの運動量が落ち始めてユーベが互角のペースに持ち込むようになり、ポグバやディバラの突破力でチャンスを作るもミランは粘り強く守り、試合は90分で決着がつかず延長線へ。ミランは延長戦前半にPA内でフリーになったバッカがオーバーヘッドを放ったがこれも枠を捉えられず、逆に後半に途中出場のモラタがクアドラードからのクロスを上手く合わせて決勝点。コッパ・イタリアの優勝はユベントスとなって、ミランの欧州戦の夢は潰えてしまった。

せっかく攻め込んでチャンスを作っても決められず、相手には一発のチャンスからやられてしまうのは、まるでトゥーロン国際大会に出ている五輪代表を見るようではあるが、今のミランのチーム編成を考えたら、このメンバーでこの4-3-3をやるのがベターであるように思う。まあ、シーズン最後に試合になってようやく最適解を見出したというのは皮肉としか言いようがないが、これで欧州戦のお金も入らなくなった事でミランの身売り話は加速する可能性が高く、それでベルルスコーニ一家からミランが解き放たれるようであれば、この敗戦も悪くない結果ではないだろうか(笑)。

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