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「前半3点、後半0点の結果に終わったのには理由がある」MS&ADカップ2016 U-23日本-ガーナ

ガーナ代表が年齢制限のないフル代表という事で、発表時は相当厳しい試合になるかと思われたのだが、いざ蓋を開けてみればガーナのメンバーはほとんどが国内組のU-23でOAが3人ほど入っただけという五輪控えクラスで、日本としてはほとんど強化にならない残念な試合になってしまった。

しかもガーナは組織的にも全く整備されておらず、守備はボールに対して4人ぐらいの選手が集まるような状態で、当然ながらDFラインはガタガタでサイドはガラ空き、日本は好き放題にサイドをフリーに使って得点を重ねて行った。そんな内容だったので、正直日本がチームとしてどれくらいのレベルにあるかについてはさっぱり分からなかった。

なので、組織的な動きは無いが個人能力はそれなりに高いガーナに対して守備はどうだったかという点と、フィジカルに勝る相手に対して攻撃での1対1が通用していたかどうかについて、主にチェックしながら試合を見てみた。

守備については、前半は意外としっかりゾーン・ディフェンスらしい組織が出来ていたと思った。ボールサイドにSHがプレッシャーをかけ、それにSBが連動して前に上がり、CBはそのスペースにスライドしてカバーするという基本は出来ていた。奈良がやらかしてしまったり、野津田と伊東が同時にプレスに行って裏のスペースを使われそうになったりと、怪しい場面はあったがとりあえずコンパクトにまとまった守備にはなっていたように思う。

そして意外な掘り出し物だったのがボランチに入った橋本拳人。FC東京ではSBとしてプレイしたりしているが、ゾーン・ディフェンスをちゃんと理解しているようでバイタルをしっかりカバーして相手のボールを絡めとり、シンプルにボールを配給する姿はドルトムントのヴァイグルを髣髴とさせる。ボランチの相方だった大島が相変わらずあっちゃこっちゃに動き回っていただけに、その安定感が余計に際立っていた。ポリバレント性も高く、一気にリオメンバー候補に浮上したのではないか。

そういう意味で後半のボランチ陣は残念だった。矢島は本職じゃないだけに仕方ない面はあるが、井手口までもがあちこち無駄に動いてスペースを開けてしまい、ガーナの選手に何度も侵入された。相手があまりサイドを上手く使えなかったのでピンチにはならなかったが、後半はゾーン・ディフェンスという言葉からは程遠い守備に成り下がっており、それが攻撃面での停滞を招いた原因の1つであったとも言える。まあ、ガンバではボランチの相方が遠藤や今野といったゾーンを考えない選手なので井手口がそうなるのは必然ではあるのだが・・・

攻撃で目立ったのはまず富樫。フィジカルに負けずボールはキープ出来ていたし、そこから反転する意欲を見せていたのは好感が持てる。得点も決めて、決定力が壊滅的なオナイウ阿道に対して一歩リード出来たのではないか。OAの起用や鈴木武蔵の回復次第ではあるが、1トップの有力候補に名乗りを上げた。そしてガーナの守備がガバガバだったとは言え正確なクロスでチャンスメイクした伊東も新たな発見。矢島もポリバレントなサブとして残りそうだ。

逆に残念だったのは野津田と金森。野津田は競争が厳しいポジションなのでここまでアピール出来ないと辛い。金森は絶好のチャンスをトラップミスで逃したのは印象的に厳しい。浅野も良くなかったがコンディションさえ戻ればメンバーには入るだろう。前田は可もなく不可もなしというところか。

次はトゥーロン国際大会。ガーナ戦については完全な肩透かしになってしまったが、さすがに今度こそはチーム力の真価が分かる厳しい試合になると思うので楽しみにしたい。

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