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レスターのプレミアリーグ優勝は、ビッグクラブの斜陽が到来する兆しなのか?

昨日、以前から噂に上がっていたドルトムントのキャプテン、フンメルスのバイエルンへの移籍が発表されました。

いくらドルトムントが上場企業で株価に影響する情報を即時開示しないといけないと言っても、これから宿敵バイエルンとポカール決勝を戦う前というタイミングでの発表は、ドルトムントのサポーターの神経を逆撫でする行為であるのは確かです。しかもフンメルスはゲッツェがバイエルンに移籍した時には非難を浴びせたという経緯もあり、二重にサポーターの怒りは募っているようです。

ドルトムントにとっても、フンメルスはCBから香川への重要なパス供給源でしたし、セットプレイにも強い選手だったので、攻撃面での痛手は相当なはずです。これから早急に、フンメルスの代わりになるような大型補強をしなければなりません。

バイエルンにとっては、ゲッツェ、レヴァンドフスキに続くドルトムントの主力選手引き抜きで、着々とライバルの弱体化に邁進しているわけですが、それがバイエルンとフンメルスにとってプラスになるかどうかはまた別問題だと思っています。

ビッグクラブにとって、昨今はチャンピオンズリーグで優勝を狙うのが至上命題になっており、ケタ違いの予算で2ダース以上のスターをかき集め、リーグ戦はその出場権を得るための単なる予備予選と化しています。パリ・サンジェルマンに至っては、今期のリーグアンで2位に勝ち点差27をつけてのぶっちぎり、トロアとの試合では9-0というスコアで勝ったりしています。

しかしそれでチャンピオンズリーグに勝てるかというとそうではなく、今年も決勝はスペイン勢同士となって、リーグ戦を圧勝したパリ・サンジェルマンもバイエルンも敗退してしまいました。バイエルンは、バルサからグアルディオラ監督を招聘し、ライバルから主力を引き抜いて万全の体制を整えたにも関わらず、結局ペップはビッグイヤーを獲得する事無くチームを離れる事になりました。

その原因として、あまりにリーグ戦が楽で強い相手と戦う機会が減少しているのと、チャンピオンズリーグの決勝トーナメントに入った時にはリーグ戦での趨勢が決まっており、リーグ戦でのモチベーションが下がって影響を与えているなどの理由が挙げられています。サッカーは必ずしも強いチームが勝つとは限らないスポーツだとは言え、やはりその論拠には一理あるような気がします。

逆に競争が激しすぎても、プレミアリーグのように過密スケジュールで選手が疲弊して怪我が相次ぐためにターンオーバーを前提にせざるを得ず、ワガママなスター選手の高い個人能力を全面に出したチームになりがちで、チームに一貫した戦術組織を浸透させているビッグクラブはほとんどありません。レスターやスパーズ、サウサンプトンやウェストハムといったチームが上位に来ているのは偶然じゃないのです。

そして最近は、ビッグクラブがあまりに高い移籍金とサラリーで選手を獲得するため選手と代理人のエゴが増大し、出場機会を得られない選手を中心に不協和音が広がり、今期のチェルシーやレアルのように半ば公然と監督に対して反旗を翻す事も珍しく無くなって来ました。これは実質的に選手と監督のヒエラルキーが逆転してしまっており、こうなるとマネージメントどころではありません。

レスターの優勝が奇跡のように言われていますが、レスターほどのアップセットはないにせよ、ビッグクラブだけが我が世の春を歌う時代は意外と終わりに来ているのかもしれませんよ。

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