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「フランクフルトと長谷部の1部残留を、酒井高徳の成長が強力にアシスト」ドイツ・ブンデスリーガ第31節 ハンブルガーSV-ヴェルダー・ブレーメン

数年前はチャンピオンズリーグにも出場していた強豪だが、近年は中位でリーグを終えることが多くなり、今期はとうとう残留争いをするまで落ちてしまったブレーメンと、昨シーズンはギリギリで残留、今期は何とか中位をキープしているハンブルガーSVとのノルトダービー。

試合は序盤から互いに高い位置からプレスを掛け合う、ダービーらしい激しい展開になるが、先制したのはホームのHSV。前半5分にGKから一発のフィードから右サイドをニコライ・ミュラーが抜け出し、グラウンダーのクロスを中に詰めたラソッガが合わせる綺麗なゴールを決めてしまう。その後もHSVのペースは続き、32分にカウンターから今度は左サイドのグレゴリッチュが突破を仕掛けると、またもクロスがラソッガにピタリと合ってHSVが2点目をゲットする。

しかし前半のうちにスピードで相手の脅威になっていたニコライ・ミュラーが怪我で後半からカチャルに交代すると、戦況がガラリと変わってしまう。前半に飛ばしすぎた反動でHSVの運動量が落ちて来たのに対し、ブレーメンは逆にチーム全体のエンジンがかかり、完全に試合の主導権を握ってしまう。HSVは劣勢の中で何とかカウンターのチャンスを見つけようとするが、ブレーメンのプレッシャーが厳しくて前線で全くボールをキープできず、セカンドボールをことごとく拾われてはサイドを攻め立てられる悪循環。

すると後半12分にピサーロの突破をジュルーがたまらず足で止めてしまってPKの判定。しかしPKはHSVのGKドロブニがコースを読んでストップ、HSVは何とか命拾いする。が、それでも勢いが衰えないブレーメンは、その4分後にHSVはミスパスを拾われると、フリッツがゴール前にクロスを上げ、ヘディングを2本繋いで最後はウジャーが押し込みブレーメンが1点を返す。

HSVにとってラッキーだったのは、ちょうどこの直後の時間帯からブレーメンのペースが落ち始めた事で、それまではDFラインに張り付いて6バック状態で中に絞っていた酒井高徳も徐々に前へと出られるようになり、後半27分にはブロックされたがシュートを打つ場面を作るなど、それまで全くボールが持てなかったHSVに少し余裕が出て来る。

とは言え、その後もブレーメンペースは変わらず失点からも9本のシュートを近距離から打たれるものの、枠内シュートは2本と相手の決定力不足に助けられ、HSVが何とかかんとか逃げ切りに成功、ノルトダービーを勝利で飾った。これでHSVは勝ち点が37となってプレーオフ順位のブレーメンと勝ち点6差。残り3試合という事を考えると残留安全圏に入ったと見て良いだろう。

逆にブレーメンは勝ち点31に留まり、自動降格圏の17位フランクフルトが勝利したため、これで勝ち点1差に迫られる結果に。フランクフルトと長谷部にとっては、残留に向けてHSVから強力なアシストをもらった格好になった。

酒井高徳については、相変わらず人に食らいつき過ぎて動いたスペースを使われる場面もあったが、ブレーメンの猛攻の場面ではほとんどCBの位置でラインを作って我慢しつつ、ニコライ・ミュラーらへの縦パスで攻撃の組み立てに参加、気を見てオーバーラップを仕掛けるなど、戦況を見て適切なプレイの選択が出来るようになりつつある。内田の域まではまだ至らないにせよ、酒井宏樹よりは頼もしさを感じられるようになった。随分頭打ちの期間が長かったので、このままドンドンと伸びて行って欲しいね。

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