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「とうとうリーグ制覇に王手をかけたレスター、強さの秘訣は”戦術的な三面性”」イングランド・プレミアリーグ第35節 レスター・シティ-スウォンジー

最後の3試合が強豪の対戦となっているレスターにとって、絶対に勝利が必要となった35節スウォンジー戦。しかもエースのヴァーディが前節に退場して欠場という大ピンチだったが、終わってみれば4-0の大勝、これで一気に優勝へと流れを呼びこむ極めて大きな勝利になった。

試合序盤は、硬さが見えてロングボールに偏るレスターに対し、4-3-3でSBを高く上げて前線からプレスをかけて来たスウォンジーが優勢に試合を進めたが、10分にスウォンジーCBウィリアムズがクリアをマフレズの体に当ててしまい、マフレズがそれをフェイントからニアに決めてラッキーな先制点をゲットする。

これでリラックスしたレスターは、その後は得意の4-4-2ゾーン・ディフェンスで攻めて来るスウォンジーの攻撃をことごとく絡め取って大きなピンチを許さず、逆に前半33分、ドリンクウォーターのFKをウジョアが頭でゴールに流し込み、まさにレスターらしい効率のよい追加点を挙げる。

後半からスウォンジーはパロスキ、モンテロを投入、今度はロングボールを前線に集めてレスターのDFはラインを下げさせようとするが、そうやって相手がレスターを押し込んで来ると今度は恐怖のカウンターが炸裂、後半15分に左SHで先発したシュルップがマークを振りきって突破すると、GKとの1対1で弱気になって折り返しを選択するがボールが相手に当たり、ところがそのこぼれ球がまた自分の前に転がり、シュートは枠を外れそうになったそこにウジョアが飛び込むというお笑いチックな3点目で華を添える。

そこからは互いにオープンな攻め合いの試合になってしまったが、そうなっても強いのが今期のレスターで、中盤に空いた広大なスペースをカンテがいきいきと走り回り、マフレズがサイドを抜けだしてマークをドリブルで翻弄し、岡崎は攻撃のあちこちに顔を出してザックジャパン仕込みのワンタッチパスを繰り出し完全にスウォンジーを圧倒。最後は相手をあざ笑うかのようなゴール前でのパスワークで4点目。これで完全に勝負あり。

岡崎については、いつも通り攻守に走り回ってチームに貢献。後半24分にこの試合で唯一切り返しからフリーでシュートを打つ場面はあったが、相当に疲労が来ていたようでバランスを崩してボールは枠外へ。その直後にグレイと交代。岡崎自身にも相当な蓄積疲労があるんだろうが、もはや気力だけで走っている感じだね。

今期レスターが躍進したのは、岡崎とカンテを中心とした固い守備にあると思われているが、確かにそれは決して間違いではないけれども、ラインの高さを調整して高めの位置からプレスをかけて攻撃的にも戦えるし、オープンな試合になっても選手個々の能力を発揮して戦える柔軟性というか、二面性ならぬ三面性にあるのではないかと思う。

来期はマフレズやカンテといった主力の流出が確実視され、チャンピオンズリーグとの両立でリーグ降格の可能性さえ既に囁かれているレスターだが、シュルップやグレイといった面白いタレントも揃っているし、戦術的なベースと柔軟性は間違いなく来期も武器になるはずなので、そこまで悲観するべきではないと思っているのだが・・・

ともかく、今節はスパーズがWBAにまさかのドローを喫して、これでとうとうレスターとスパーズの差は残り3試合で勝ち点7となり、野球で言うところのマジック1となった。次はチャンピオンズリーグ争いで本気のマンU、しかもオールド・トラフォードでの大一番。勝つにしても負けるにしても、プレミアリーグ首位らしい堂々とした試合になって欲しいね。

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