サイトアイコン 旧閑ガゼッタ

「清武が香川に、酒井宏樹が長友に変身出来た理由」ドイツ・ブンデスリーガ第30節 ハノーファー-ボルシアMG

特にJリーグでは傾向が顕著なのだが、戦術好きのサッカーファンとして見てみると、さっぱり評価出来ない監督がJ1のクラブから重用され、ちょっと調子が良いとすぐ「次の代表監督に!」なんて声が出て来るのが不思議でたまらない事が往々にしてあったりする。

まあ、例を挙げると元ガンバ監督とか関東方面の青と赤のクラブとか、黄色いクラブの監督さんだったりするわけだが(笑)、それは日本のクラブフロントがサッカーを見る目が無いからだと思っているんだけど、ぶっちゃけサッカー大国であるドイツも意外と変わらないなと思うことが往々にしてある。

その典型例が、どう考えても戦術をまともに指導できないフェー監督を度々起用するフランクフルトと、ハノーファーである。ハノーファーの場合は、それまで実績を挙げていた現ケルンのシュトマケSDを放逐してからおかしくなり、守備だけは作れるフロンツェク監督で何とか粘り続けていたが、攻撃面を全部任せていた清武の怪我で連敗まっしぐら、後任のシャーフ監督はチームをいじるだけいじって即解任と、まるで某ピンクのチームを髣髴とさせるドタバタぶり。

しかし、暫定監督としてU-19のシュテンデル監督を苦肉の策で起用したら、見違えるように内容が激変したのだからサッカーというスポーツは不思議なものである。

最も大きく変わった点は、とにかく前線とDFラインの距離がコンパクトになり、前線のプレスと守備がきっちり連動している事。1トップのソビエフとトップ下の清武の2人に加え、ボールホルダーに対して2列目の4人のうち1人がプレスに参加し、3人でボルシアMGのビルドアップにプレッシャーをかけつつ、受け手に対してもしっかりカバーが入っているので、ボルシアMGの組み立ては全く機能せずことごとくハノーファーにボールを奪い取られてしまった。

ただし攻撃はすぐ向上というわけには行かず、中盤での組み立てをすっ飛ばしてのロングボールが多かったが、前半戦のように間延びはしていないので清武の頭上をボールが行ったり来たりという事は少なく、セカンドボールを拾ってサイド攻撃という狙いは実現されていた。

そのため清武はなかなかボールを良い形では持てなかったが、酒井宏樹には劇的な変化をもたらし、以前よりもはるかに前線までの距離が短くなって、しかもウイングに溜めを作れるサレンレン・バゼーが入った事で、一気にオーバーラップの回数が増えた。守備でも2度ほど決定的なピンチを阻止するなど、一気に存在感が増したプレイぶりだった。

前半は相手のマークが厳しくて消えがちだった清武も、後半4分に先制点を奪ってボルシアMGの守備にスペースが生まれると、それからはバイタルエリアでパスを受けられるようになり、15分には清武から右サイドを駆け上がった酒井に美しいパスを送り、クロスは相手に当たったもののこぼれ球をソビエフが押し込み2点目をお膳立て。その後も味方が決めてくれなかったが決定的なスルーパスを出すなど及第点以上の働きだった。

5位のボルシアMGに勝利という金星は上げたが、それでも残念ながらハノーファーは降格は決定的。シャーフじゃなくてシュテンデル監督にしていればと思ってしまうが後の祭り。ハノーファーは後任の監督をリストアップしているらしいが、今のままではダメなのだろうか。まあ、フロントにそういう正しい判断が出来るなら今この順位にいる事は無いわけだしね・・・クラブに残りそうな山口蛍にとっても、シュテンデルのようなきちんとゾーン・ディフェンスを指導できる監督であって欲しいところなのだが・・・

 

モバイルバージョンを終了