サイトアイコン 旧閑ガゼッタ

「インサイドハーフでありセカンドトップでもあるポジションを開発した香川」DFBポカール 準決勝 ヘルタ・ベルリン-ボルシア・ドルトムント

ヨーロッパリーグもリーグ戦も優勝の目が消えてしまったドルトムントにとって、今期唯一残されたタイトルであるドイツカップ、DFBポカール。準決勝は原口が先発したヘルタ・ベルリンが相手だったが、香川が3得点に絡む活躍でドルトムントが快勝、決勝は宿敵バイエルンとの対戦になった。

この試合、ニュースソースによってはドルトムントのフォーメーションを3バックと書いたり4バックと書いたりしているところがあるのだが、おそらく基本セットは4-2-3-1で、ラモスの1トップに2列目がロイス、香川、ムヒタリアンという並びで、ダブルボランチがカストロとヴァイグルという並びである。

しかし、試合の多くの時間帯では、SBのシュメルツァーとピシュチェクが2列目の位置まで上がり、3-2-4-1のような形になっていた。これまでもこういうシフトをする試合はあったが、主にシュメルツァーだけが上がった片翼タイプだったのだが、この試合ではボールとは逆サイドのSBが上がる両翼タイプに変化していた。

そして香川は、その高く上がったSBを基点にしてDFの裏を狙う、トップ下というよりはセカンドトップとしての役割になっていて、いきなり試合開始3分でサイドのパスから裏へ抜け出した香川から決定的なクロスが出される。その後はバイタルでボールを受けようとする香川に厳しいマークが付いて倒される場面も何度かあったが、サイドに流れる動きで良くボールを引き出していた。

すると20分に、ムヒタリアンからのパスに同じような形で香川がサイドを抜け出してクロスを送ると、逆サイドから中へ飛び込んだロイスは潰されたが、後ろに詰めていたカストロがこぼれ球を蹴りこみ、ドルトムントが先制点をゲットする。その後もドルトムントがヘルタを圧倒的に攻めるものの、ロイスが決定的なシュートを決められずなかなか追加点が奪えない。

こうなると圧倒的に劣勢だったヘルタにもチャンスがやって来るもので、前半終了間際にはクロスのこぼれ球をヘゲラーが至近距離からシュートを打つがドルトムントGKビュルキがセーブ、後半19分にはショートコーナーからファーサイドにフリーに飛び込んだカルーがポストをかすめるシュート、29分にはまたもカルーがアーリークロスからヘディングを放つがボールはまたも枠を外れる。

だがヘルタの健闘もここまで。その1分後に、ヘルタのCBブルックスが体勢を崩したところでラモスがボールを奪い、裏に走る香川にパスを送ると、折り返しをロイスがやっと決めてドルトムントが2点目。その5分後にも、香川の縦パスを左サイドで受けたロイスが溜めを作り、相手を振り切って出したクロスをムヒタリアンが楽々決めて3点目、これで完全に勝負あり。

香川は、後半のヘルタが同点を狙って前に出て来た時間帯はインサイドハーフの位置まで下がって、守備をこなしつつポゼッションに加わって試合を落ち着かせ、ヘルタの運動量が落ちてからは再び前線に上がって積極的にスペースを使うなど、試合の流れを読んだミスの無いプレイでドルトムントの攻撃を牽引していた。前半戦のインサイドハーフ、後半戦のトップ下の両方を使い分けられる、新たなプレイスタイルを見出したのではないだろうか。

原口については、ドルトムントのSBが高い位置に上がって来るため、ピシュチェクとムヒタリアンを両方見なければならず、ウイングというよりはほとんどインサイドハーフのようなポジションで守備に奔走。何とか攻撃でボールを前線に運ぼうともしていたが、攻守の切り替えが早いドルトムントの前に孤軍奮闘状態、後半25分に退いた。ほとんど攻撃では目立てなかったが、ドルトムント相手にファイト出来ていた数少ない選手だったように思う。お疲れさま。

モバイルバージョンを終了