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「ようやく、マンチーニ監督は”長友とハサミは使いよう”に気づいたのかも」イタリア・セリエA第33節 インテル-ナポリ

前半戦でのナポリホームでの対戦では、長友が退場して1-2という悔しい敗戦を喫してしまったインテル。そして迎えたインテルホームでの第33節は、ナポリはスクデット、インテルはチャンピオンズリーグ出場権を狙う上でともに負けられない状況での大一番になった。

試合は、開始わずか4分にオフサイド気味だったがギリギリで抜け出したイカルディにメデルのパスが渡り、イカルディが上手く高く上げた足でボールを足元にトラップ、GKを交わす技ありシュートで先制、その後はナポリが攻勢を強めてインテル陣内でボールを支配するも、インテルはコンパクトなゾーン・ディフェンスを敷いて粘り強く守り、ハムシクの強烈なミドルシュートもインテルGKハンダノビッチがナイスセーブで防ぐ。

少し前のインテルであれば、ここで堪え切れずに失点というパターンが続いていたが、今のインテルには反発力があり、前半35分ごろから再びDFラインが上がって徐々にインテルが盛り返すと、44分に長友の縦パスからヨベティッチがスルーパスを送ると、今度は完全なオンサイドで抜け出したイカルディがワンタッチでサイドに流し、右サイドを走りこんでいたブロゾビッチがチップキックで2点目を決める理想的な展開。

これで完全に落ち着きを取り戻したインテルは、その後もナポリにポゼッションは与えながらもバイタルエリアから先は自由にさせない堅牢な守備で対応、シュートは打たれたがほぼPAの外側からの一発で崩されるようなシーンは無く、ビアビアニー、フェリペ・メロ、パラシオとフレッシュな選手を逐次投入して危なげなく逃げ切った。

この試合を見ていて思ったのは、ようやくマンチーニ監督は長友の正しい使い方を理解し始めたのかなという事である(笑)。これまでのインテルであれば、長友が毎回しゃにむにオーバーラップをするのは良いのだけど、そこでタイミングが上手く合わなくて囮にしかならず、ボールを奪われて長友が必死で戻るというパターンが多かった。

しかし今回は、長友の上がるタイミングが周りと合っていたし、例え囮になったとしても長友はすぐに戻らずその場にとどまり、そのままパスの受け手として機能していた。長友はパスの出し手としても向上しており、クロスの精度は相変わらずイマイチだが、組み立てのパスや繋ぎのパスにほとんどミスがなく、長友が高い位置に滞在する事によってナポリのサイド攻撃を逆に封じ込めていた。

長友の守備面での欠点である、数的不利になった場合のポジショニングやマークの判断についても、この試合では長友は比較的高い位置からマークに付いて、その裏のスペースへのオーバーラップに対してはムリージョやコンドグビアがスライドしてカバーし、長友が数的不利にならないようにチーム全体でディアゴナーレの意識が徹底されていた。

今節は3位のローマがトッティのゴールでアタランタに追いつき、4位インテルの勝ち点差は5に留まってチャンピオンズリーグ圏内への展望はまだ厳しいところだが、こういう試合が出来るようになれば残り5試合での逆転について、少しは望みを持てるのではないだろうか。奇しくもレスターに対するスパーズの立場と同じだが、そう思えば不可能ではないように思えるのが不思議である(笑)。

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