サイトアイコン 旧閑ガゼッタ

「2ゴールに絡む香川の奮闘で、とりあえず立て直しの一歩は踏み出せた」ドイツ・ブンデスリーガ第30節 ボルシア・ドルトムント-HSV

ヨーロッパリーグのリバプール戦で、まさかの大逆転負けを喫してしまったドルトムント。シャルケとのレヴィアダービーを犠牲にしてまで臨んだ試合だっただけに落胆も深かったはず。

リーグ戦はほぼ絶望になり、残されたタイトルはドイツカップのみ、そのヘルタとの準決勝を次のミッドウィークに控えた週末のHSV戦は、メンタルも選手起用も非常に難しい試合となってしまった。

トゥヘル監督が選んだスタメンは、やはり従来の方針を変えずにヘルタ戦を見据えて8人を入れ替える大きなターンオーバー。前線は1トップのラモスにプリシッチ、香川、カストロの2列目、ボランチはシャヒンとギュンドアン、DFはパスラック、フンメルス、ベンダー、ギンターの4-2-3-1のフォーメーション。

やはりサブメンバー主体、ショックな敗戦の後とあってかドルトムントは内容がパッとしない。特にリバプール戦でも見られた守備組織のほころびは消えておらず、ミュラーにPA付近をドリブルさせてシュートを打たれたり、17分にはオフサイドギリギリで抜け出したイリチェビッチに枠は外れたものの完全なフリーでヘディングされ、36分にはベンダーのバックパスミスをシップロックに拾われてGKと1対1にされるなど、ドルトムントにとっては失点されてもおかしくない展開が続く。

ドルトムントは攻撃面でも低調で、香川自身は好調をキープして積極的にバイタルでボールを受け、相手の逆を取るターンで攻撃の基点となるが、周りの動き出しが無くてせっかく香川が前を向いても結局は横パスになったりして、攻撃がスピードダウンしてしまう。そしてそのうち香川への警戒も強くなってドルトムントは前線で基点が作れず、後ろでボールを回すだけになってしまってHSVがプレイエリアを押し戻し始める。

しかし前半38分に香川の縦パスからフンメルスがワンタッチが流し、プリシッチがトラップでDFのマークを外す個人技からニアにシュートを決めてドルトムントが先制する。そして44分には、ロングパスで抜け出したラモスがニアに切れ込んでファーに突き刺すミドルシュート、あっという間に2点差が付いてしまう。

そして後半9分に、右サイドからラモスが中央を上がってきた香川にパスをすると、GKと1対1になった香川はフェイントで交わそうとするが、HSVのGKアドラーがPAの外で体ごとタックル、香川と倒して得点機会阻止で1発レッド。さらにHSVにとってはアンラッキーな事に、後半32分にエクダルが負傷でピッチの外に出てしまうが、そこまでに3人を既に代えていたHSVは9人での試合を強いられる事になる。

これで完全に試合としての興味は失われ、ドルトムントは交代で入ったオーバメヤンとラモスが2トップになり、2列目がプリシッチ、香川、ライトナーと並んだ4-1-3-2のようなフォーメーションでほぼハーフコートマッチ、41分にライトナーのヒールパスを受けた香川がシュートを放つと、GKにいったんはセーブされるがこぼれ球をラモスが押し込んで3点目。これで完全に試合は決まってしまった。

ドルトムントにとっては、相手の決定力不足と数的不利に助けられる格好になったが、とりあえずリバプール戦からの再スタートして勝利を飾れたのは大きい。香川も相手が10人になってからはややプレイが中だるみになった時間帯はあったが、前半はきっちり集中できていたし、3点目もアシストになったので全体としてみれば悪くない出来だった。疲れはあるだろうが、調子自体は高くキープ出来ているので、次のポカールでも起用されて欲しいところ。

酒井高徳は、2点目の場面でラモスに裏は取られたが個人のミスではなかったし、全体的にはプリシッチを良く抑えていた。攻撃でも時折タイミングの良いオーバーラップで攻撃に絡み、HSVの選手の中ではまずまず良い方だったように思う。

モバイルバージョンを終了