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「城福監督を黙らせておけばFC東京は強かったりする?」ACLグループE 江蘇蘇寧 -FC東京

昨日は広州恒大、今回は江蘇蘇寧というスター選手を”爆買い”したチームの試合を見てみたわけだが、それで間違いなく確信したのは、彼らが獲得したスター選手が必ずしもチームの実力底上げには繋がっていないという点である。

江蘇蘇寧はブラジル代表のジョー、ラミレス、テイシェイラをトータルで約100億円をかけてお買い上げ、このFC東京戦でも当然彼らが先発で出場したわけだが、特に試合の前半は彼らが完全にチームの足かせになってしまっていた。

江蘇のフォーメーションは4-1-4-1で、ジョーが1トップにテイシェイラが左のウイング、ラミレスがインサイドハーフに位置し、試合の序盤はジョーにロングボールを当ててセカンドボールを拾い、サイドから崩すという形で江蘇が押し込んだものの、すぐにFC東京がペースを取り返す流れになった。

その要因は、東京が今期のテーマである「アクションフットボール」じゃなくて、あくまでリアクションサッカーを貫き、江蘇の高いDFラインの裏を前田が突いて、その落としをバーンズが拾ってドリブルで仕掛けるというシンプルな攻撃に徹した事がまず1つ。これで江蘇のDFラインが押し下げられ、4-1-4のアンカーの両脇にあるスペースを橋本や水沼が使う流れに繋がった。

そしてもう1つは、江蘇のジョーとテイシェイラがほとんどパスコースの限定やプレスバックといった守備のタスクをやらなかった事。これによって東京のDFラインはほとんどプレッシャーを受けること無く、森重の位置でゲームメイクを自由にやらせてもらった。それも、相手のDFラインを下げてプレスの圧力を弱める効果をもたらした。

東京が良い流れのまま迎えた前半30分に、CKからのこぼれ球を森重が上手くコースに流し込んで東京が先制し、これは意外と楽な試合になるかと思われたのだが、その4分後にPA内でボールをキープしていた橋本に向かってラミレスがボールを奪いに行くと、ラミレスは橋本の後ろ足に自分から引っかかって倒れ、これが何故かPKになってしまう。この主審は、その後の判定はいたって偏向無くまともだったので、いかにもご注文のノルマはこなしましたよという感じだったね(笑)。

後半からはハーフタイムでハッパをかけられたのか、さすがにスターの皆さんも真面目に守備をするようになり、何度か決定的なピンチを作られてしまうがシュートミスなどで助けられる。城福監督の采配もこの試合は冴えていて、阿部、河野、平山と投入した選手がしっかりスペースへ動いてボールを引き出し、江蘇に流れた試合のペースを自分達に押し戻す。すると後半38分に、グラウンダーのCKを森重がボレーで叩くサインプレーが決まって東京が鮮やかな勝ち越し。逆に江蘇は42分に李昂が両足タックルを放って1発レッド、これで試合は決まってしまった。

城福監督は、現FC今治オーナーの岡田氏と良く似たところがあり、自分が理想とするサッカーをやろうとすると失敗するけど、甲府時代のように現実的でリアリスティックなチームを作ると、これが実に上手かったりするんだよね。それなら、自分の強みをとことん活かせばいいんじゃないかと思ったりするんだけど、団塊の世代後というせいもあるのか、どうも「自由と創造性」を美化する傾向があるんだよなあ。岡ちゃんも、岡田メソッドなんてやめればいいのに。

裏の試合では、何とビンズオンが全北にホームで勝利したため東京が4試合目にしてグループ首位になってしまった。このまま城福監督にはアクションサッカーなど忘れてしまって、ひたすらリアル路線で突き進んでもらいたいところだけど、これでまた変な欲が出て「やっぱアクションしたい!」となってしまわないか心配である(笑)。

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