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「長友から逃げたローマの苦肉の策が、インテルの先制点をもたらした?」イタリア・セリエA 第30節 ローマ-インテル

スパレッティ監督の就任後は、しょっぱなでユーベに敗戦してからはリーグ戦では8連勝という快進撃、チャンピオンズリーグ圏内の3位をガッチリキープしているローマと、チャンピオンズリーグ入りにはもう負けられない5位のインテルという大一番。

ローマのフォーメーションは、スパレッティ監督の十八番でもある4-3-3のゼロトップ戦術。前線の真ん中にはペロッティが入るが、ペロッティはあまりポストプレイは行わず、主にインテルのDFラインと駆け引きをして囮役として働く。そして攻撃のメインは完全にサイド攻撃で、ウイングのエルシャーラウィとサラー、インサイドハーフのナインゴランとピャニッチ、SBのディーニュとフロレンツィが入れ替わり立ち替わりで、縦パスのポスト>中盤がダイレクトパス>裏への飛び出しを繰り返し、何度もサイドを切り裂いて行く。他のチームは分かっていても、エルシャーラウィとサラーのスピードで止められないという寸法である。

対するインテルは4-2-3-1で、狙いとしては完全にローマのサイド封じ。特に長友はお馴染みのエースキラーとしてサラーにガッチリとマンマークする役目。数的不利にされるとポジションに迷いが出る長友も、完全な1対1に仕事を限定されるとめっぽう強く、サラーはしつこく食らいついていく長友の前に全く仕事が出来ず、ローマの攻撃はエルシャーラウィのサイドに限定されてしまった。そして中央はムリージョとミランダが粘り強い守りを見せて耐え忍ぶ。

ただし前線に怪我人が相次ぐインテルは、やはり攻撃面ではローマに比べると明確に力不足で、エデルは走り回るけどなかなか基点にはなれず、SBやボランチはとてもオーバーラップできる状況ではないので、右ウイングに入ったビアビアニーの単独突破力を頼りにしながら、リャイッチとペリシッチが並走してカウンターの形を作る攻撃しかできず、両チームともにシュート数こそ少ないものの、形成的には明らかなローマペースで前半を折り返す。

後半になると、前半はサイドに張っていたサラーが長友のマークを嫌ったのか最初から中へとポジションを取る形が多くなり、そのスペースはディーニュが上がって長友の不得意な数的優位の状態をローマが作ろうとして来た。そしてそれは確かに当たって、何度かローマは右サイドからフリーでクロスを上げる場面は作ったのだが、後半の8分にその策が裏目に出てしまう。直接的には、インテルが中盤でボールを奪って左サイドのペリシッチが左足でコースに決めたゴールだが、ローマは長友対策で右サイドが全て上がり目になっていたので、最後にペリシッチを追っかけていたのは何とFWのペロッティだった。

この失点でローマはジェコを投入して0トップから明確に3トップ戦術へと切り替える。前半には無かったジェコの高さとポストプレイに加え、サラーがトップ下的な位置から飛び出すという、サイドから中央へと重心を移したローマの攻撃にインテルは手を焼き、何とかPA内でチャンスを作られるがジェコのシュートミスなどで命拾いをするシーンが続く。しかしとうとう39分に、ゴール前での密集からジェコのシュートミスが上手くナインゴランの足元に転がり、ナインゴランはこれを押し込んでローマが同点に追いつく。その後もローマの猛攻は続いたが何とかインテルも最後まで粘って試合終了。

得点経過を見れば、インテルにとって勝つチャンスはあった試合だったが、内容的にはベタ負けだったのでアウェイで勝ち点1はまあ納得するべき結果だろう。とは言え、ユーベ、ナポリ、ローマと3位以上のチームに比べると地力で劣るのは明白なので、よほどの奇跡が起きない限りはチャンピオンズリーグは厳しいような気がする。順位が長友やマンチーニの契約に影響を及ぼしそうな気配なので、何とかハッピーエンドになって欲しいところではあるが・・・

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