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「ラッバディア流イケイケ戦術の波に乗っかった酒井高徳」ドイツ・ブンデスリーガ第25節 HSV-ヘルタ・ベルリン

インテルでシーズン序盤には完全に戦力外として干されていた長友の復活は驚きだが、同じく11月まではほとんど使ってもらえなかった酒井高徳が、それまで主力だったディークマイヤーの怪我もあって先発復帰し、今ではチームに欠かせない戦力となっている事のほうが正直言って意外であった。

それもあって、なでしこジャパンが勝利した北朝鮮戦や、チャンピオンズリーグのレアル戦を差し置いてHSV対ヘルタ・ベルリンの試合を見てみたわけだが、酒井高徳は前半にSBでありながら何と4本のシュートを放つなど、目に見えるアシストやゴールという結果は無かったが、完全に攻撃の牽引役として抜群の存在感を見せていた。

ドイツでのデビューイヤーこそ華々しい活躍を見せたものの、その後は守備のポジショニングを始めとして調子の安定性に欠け、ずっと伸び悩んでいた酒井高徳が、いきなりキレキレのプレイを見せるようになった大きな理由は、HSVの戦術変化にある。

ラッバディア監督は、岡崎が居た頃のシュツットガルトを率いていたのだが、ゾーン・ディフェンスの構築が上手くなく、サイドに負担がかかるいびつな戦術で監督としての手腕に疑問符を付けていたのだが、HSVでの前半戦は4バックがしっかりパックしてシンプルにトライアングルパスを回して攻め切る手堅いチームを作り上げて、私の中ではにわかに評価が上がっていた。

それがこの試合では、フォーメーションは4-2-3-1だが攻撃時にはボランチの1枚がCBの間に入って3バックになり、両SBが極端に高い位置を取って相手のサイドを押し下げ、しかもSBとウイングが縦の関係だけじゃなくて、横に並ぶことで時折5トップのような形になる、浦和や広島のミシャサッカーのような攻撃をするようになっていた。これによって4-4-2のゾーンで守るヘルタは中盤から前線のサイドで数的不利になってしまい、サイドでフリーになった酒井高徳が切れ込んでシュートを打つ場面が増えたというわけだ。

もっとも、ヘルタのダルダイ監督もさすがにハーフタイムで修正してきて、後半14分にHSVのニコライ・ミュラーにクリアミスを拾われて先制点を奪われた後は、ベンチスタートだった原口を投入、原口はサイドじゃなくてインサイドハーフのようなポジションを取って、前半は3-2-5のような形で攻めていたHSVの薄くなった中盤を攻略し、それによって酒井高徳も下がった対応を取らざるを得ず、前半ほどの攻撃性は見られなくなってしまったが、チームの勢いは衰えず30分には再びミュラーがゴール、これで試合は決まってしまった。

ヘルタは原口の代わりにカルーを左サイドに起き、2トップをイビシェヴィッチとダリダという形にしたのだが、これが全く機能せず、HSVのサイドのパワーに追われてカルーが消されてしまい、中盤と前線を繋ぐ役割が無くなってしまった。それまでは、その仕事を原口がしっかりこなしていただけに、何とも不可解な先発起用であった。

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