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「インテルの新たなベースとなりそうなチームに、ちゃっかりスタメンで収まる長友」イタリア・セリエA第28節 インテル-パレルモ

シーズンの前半戦は、堅い守備をベースにしたウノゼロの試合で勝ち点を積み重ねて首位を快走していたものの、メンバーがあまりにコロコロ変わるので攻撃面の熟成が図れず、主力の不調や怪我で得点力が低下すると、守備でも辛抱しきれなくなって瞬く間にチャンピオンズリーグ圏内から脱落してしまったインテル。

しかしコッパ・イタリアの準決勝第2レグで、サブ主体とはいえユベントスに3-0で大勝し、第1レグとの結果でPK戦になって結局は敗退してしまったが、選手と監督にとっては大きな自信になったようで、中3日で臨んだパレルモ戦でも3-1で快勝、リーグ終盤のラストスパートに向けてムードが一気に高まった。

インテルが復活した一番のポイントを挙げるとすれば、大金を払って獲得したコンドグビアがようやくチームにフィットして来た事にある。今までは、メデルはアンカーとして守備面で貢献していたものの、攻撃でタクトを振れる選手がおらず、フェリペ・メロやブロゾヴィッチを併用したがどうにもしっくり行っていなかった。

しかしこの試合ではコンドグビアが前目の位置で、メデルが後ろと役割がはっきり分担され、コンドグビアにそれほど展開力は無いしミスがまだ多いとは言え、インテルの他の選手にはない優れたキープ力で中盤に落ち着きをもたらし、そこに長友やペリシッチが絡んでトライアングルを作り、確実にビルドアップをする事でインテルが試合をコントロール出来るようになっていた。

そしてもう1つは2列目の活躍。かつてフォーメーションが4-3-3や4-4-2だった時には、前線のポジションが硬直的で変化に乏しい試合が多かったのだが、今のペリシッチ、パラシオ、リャイッチは自由にポジションチェンジを行い、中盤に下がってポストプレイをしたと思ったら、次の瞬間にはサイドを突破しているなど、各自がコンビネーションを保って積極的な動きでボールを引き出し、パレルモの守備陣はマークの相手に混乱して彼らを全く捕まえられていなかった。

インテルの先制点は、ペリシッチから右ウイングで先発したリャイッチがトップ下でボールを受けてミドルシュートを決めたものであり、2点目は右サイドに流れたパラシオからのクロスをイカルディが合わせ、3点目は今度は左サイドに流れたパラシオから中盤を経由して、右サイドのリャイッチ、イカルディと渡ったクロスをファーサイドに飛び込んだペリシッチがダイビングヘッドで決めたもので、それぞれ得点時に前線の選手のポジションが変わっている。

長友については、失点場面で高さ負けして自分の裏にボールを流されてしまったが、それ以外では比較的安定した出来。相手が3バックだったのもあって、ゾーンで守るというよりはスピードのある右WBリスポーリを高い位置からマークしてケアするという役割だったのでボロが出にくかったか(笑)。それよりも攻撃面で貢献が大きく、左足クロスの精度は相変わらずだが、ビルドアップの縦パス、繋ぎの横パスにほとんどミスがなくパス成功率は何と89%!

しかし、監督が変わる度に新戦力にスタメンを取って代わられ、今度こそもうダメかなと思っていたらいつの間にかスタメンに名を連ね、契約延長を勝ち取ってしまう長友の粘りには感嘆するしか無いよね。これで点に繋がる攻撃がもうちょい良くなれば完全復活なんだけどな~、単独突破からのクロスだけでは厳しいので、同サイドのペリシッチとコンビプレイが生まれる事に期待したいところ。

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