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「4-2-3-1でトップ下の香川は、ゲームメイカーじゃなくてスペースメイカー」ヨーロッパリーグ・ベスト32 第2レグ FCポルト-ボルシア・ドルトムント

ホームの第1レグを2-0で勝利したドルトムントは、ポルトホームで行われた第2レグでも失点を許さず1-0で勝利し、結果的にトータルスコア3-0という完勝で難敵ポルトを退けベスト16へと駒を進めた。

ただし割と楽な試合だった第1レグとは違い、今回のポルトは全く違うチームになっていた。フォーメーションは4-2-3-1で非常に高くコンパクトなゾーンを敷いて、前線から激しくプレッシャーをかけて来た。その勢いに序盤のドルトムントは押され、中盤で危ないミスパスを連発してポルトにゴールを脅かされるものの、相手の決定力不足に助けられて何とかピンチを切り抜ける。

ドルトムントのフォーメーションは、並び的には1トップがオーバメヤン、2列目がロイス、香川、ムヒタリアン、ボランチがギュンドアンとヴァイグルの4-2-3-1だが、やはり実際は第1レグと同様にシュメルツァーが高い位置になった3-2-4-1で、しかもオーバメヤンが右サイドに流れる事が多くて香川はほとんどFWだった。さらに相変わらずトゥヘル監督からは香川に下がってくるな命令が出ているようで、香川はポルトの4-4ゾーンの中に挟まれたままで身動きが取れず、当然ボールも回って来ない。

が、前半23分にドルトムントはカウンターから右サイドに展開すると、ムヒタリアンがファーサイドに入り込んだロイスにサイドチェンジ、ロイスのシュートはポルトGKカシージャスにセーブされるものの、ゴール前に詰めていたオーバメヤンがこぼれ球をシュート、そのボールがいったんはクロスバーに当たって下に跳ね返るのだが、これがカシージャスの体に当たってゴールイン。ただし、この場面は明らかにオーバメヤンがオフサイドポジションで、ドルトムントにとってはラッキーな得点になった。

これでトータルスコアが3-0となり、ポルトが勝つには4点が必要になってドルトムントは一気に優位な立場に。ここからドルトムントはパスを回してボールを落ち着かせようとするのだが、前半のうちに1点を返したいポルトの猛攻にアップアップ気味となり、終盤はセットプレイの連続から最後は決定的なヘディングを打たれるものの、GKビュルキのスーパーセーブで難を逃れて前半終了。

後半から、ドルトムントはギュンドアンに代えてシャヒン、怪我のフンメルスに代えてスボティッチを投入。シャヒンはまずまずのプレイをしたのだが、スボティッチは周りと上手く守備連携が取れず、ポルトの攻撃がサイドで基点を作ってから中を経由してさらにサイドへ飛び出す形を作って来たのに対応できず、フリーで何度かクロスを上げさせるなど際どいシーンを作られる。

それでも後半30分を過ぎると、ポルトは疲れたのか諦めが出始めたのか、徐々にプレスの勢いが落ちて中盤にスペースが出来るようになり、それまでほとんど囮かバックパッサーでしか働けなかった香川が前を向けるようになり、オフサイドにはなったが2度ほど決定的な場面を演出すると、最後は右サイドでシュメルツァーのパスをPA内で受けて、フリーでシュートを打ったがゴールの枠には入れられず、そのまま試合は1-0で終了。

まあチャンピオンズリーグに出場していたポルトに対して2試合で3得点無失点という結果は上々だし、香川のプレスをかけたりパスコースを作る動きが味方を助けた試合だったけど、香川本人にとっては当然ストレスが溜まる試合だったのかなと。ただ、体重を増やして体のバランスが不安定になったのか、今までのようなシュートに持って行くまでの軽快さはやや失われているが、この試合でも数は少なかったが相手を背負ってキープする場面があったし、このままトップ下のままで行くなら、もっとガッチリボールを受け止めて溜めを作るプレイを増やしても良いのではないだろうか。

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