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「ミランを救った本田の左足とボナヴェントゥーラの右足」イタリア・セリエA第26節 ナポリ-ミラン

ユーベが足踏みしたために勝てば首位に立てるナポリと、チャンピオンズリーグ圏内を狙うには負けられないミランという意地と意地がぶつかった月曜日の大一番は、互いに1点ずつを取り合ってのドローという文字通りの痛み分けに終わった。

とは言え、内容的にはほぼ一方的にナポリがミランを押し込む形になった。ナポリのフォーメーションは4-3-3で、特にウイングのインシーニェ、インサイドハーフのハムシク、SBのグラムが並ぶ左サイドは強力で、4-4-2で低い位置にゾーンを組んで守るミランに対し、ゾーンの間にインシーニェとハムシクが交互に入ってボールを受けて攻撃を組み立て、中を警戒すると今度はグラムがオーバーラップという風に波状攻撃を仕掛けて来る。

ミランはCBのアントネッリとサパタがイグアインを2人でマークし、ナポリの戦術は逆サイドがどんどん中へ切れ込んで攻撃参加するので、左ボランチのクツカもバイタルエリアを開けるわけには行かず、ミランの右サイドは本田とアバーテだけで守らざるを得ず、全く攻撃に絡むことが出来ない。当然、バッカは完全に存在を消されてボールに触った回数が2桁になったかどうかという有様で、ニアンはハイボールに競るだけしか仕事が無い。

しかも、ミランは攻撃の司令塔であるモントリーヴォが酷い出来で、中盤の危ないところで無理な縦パスを入れようとしてミスを連発、プレスがかかると誰もいない場所にロングボールを放り込んでみたりと完全なブレーキ。パス成功率は7割そこそこというボランチにはあるまじき数値を叩きだしてしまった。クツカも数値的には似たようなものだが、この試合は守備で本当に頑張っていたので合格だろう。

それでも何とかミランはナポリの猛攻に対して踏ん張っていたのだが、前半39分に左サイドの混戦からインシーニェがシュートを打つと、これがアバーテの足に当たってコースが変わり、ドンナルンマが伸ばした手も届かずナポリに先制点を許してしまう。が、その5分後に、ミランは珍しくモントリーヴォから右サイドでフリーになっていた本田にサイドチェンジが渡り、本田が余裕を持ってクロスを上げると、ボールがナポリCBクリバリーの頭に当たって流れ、逆サイドにいたモントリーヴォが右足ダイレクトで押し込み、ワンチャンスをものにして同点に追いつく。

後半も同じような展開が続いたのだが、やはり守備に走り回されたミランの疲労が出て来てカウンターの場面が作れなくなり、ナポリはメルテンスを右サイドに投入して攻撃を活性化させる。そしてその右サイドでの繋ぎから選手がバイタルに飛び込んで何度か決定的な場面を作るのだが、シュートがポストに当たったり、至近距離からのシュートがたまたまドンナルンマの正面で腕にすっぽり入ったりとナポリに運が無く追加点ならず。

ミハイロビッチ監督は後半27分にバッカに代えてメネズを投入、攻撃時には本田が前線に上がってターゲットマンになる4-3-1-2のような形にするが、本田は結構ロングボールに競り勝てるのだがメネズの動きが鈍くて中盤を立て直すことが出来ない。ラスト3分で入ったバロテッリが意外とボールをキープして少し余裕は作れたが、本田のミドルシュートは力尽きたという感じで威力無くGKに弾かれ、そのままドローで試合終了。

試合展開からすると負けなくて良かったのは確かだが、本田のクロスが得点に繋がったのを見ても、もうちょっとミランはサイドチェンジを上手く使って攻められればここまで厳しい試合にはならなかったように思う。あまりにゲームメイクがモントリーヴォの不確実性に左右されてしまうので、来期に向けてはボランチの選手補強や本田をインサイドハーフとして使うようなプランが必要になって来るだろう。

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