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「戦術イブラヒモビッチと戦術レスターとの対戦」欧州CL ベスト16第1レグ パリ・サンジェルマン-チェルシー

奇しくも、昨年のベスト16でチェルシーホームでの第2レグを延長戦の末にアウェイゴールでPSGが勝利したのと同じカードになってしまった対戦。

アウェイのチェルシーは4-2-3-1というフォーメーションだが、守備時は1トップのジエゴ・コスタが前に残るだけで、ウイングのアザールとペドロが下がって4-4のブロックを作り、ウィリアンがボランチのマークに入るという、レスターがやってる守備と同じタイプの4-4-1-1になっていた。

PSGのほうは4-3-3だが、前線のイブラヒモビッチ、ルーカス、ディ・マリアという並びに意味はなく、イブラヒモビッチが前線のあちこちに漂ってボールを受け、それで出来たスペースをルーカスとディ・マリアが自由に動いてボールを運ぶという、まさに戦術イブラヒモビッチ。

4-4ゾーンの間を狙ってボールを受けるイブラヒモビッチのプレイにチェルシーは手を焼き、しかもダントツで首位を独走しているリーグ戦は主力を温存していたPSGは、中盤のマテュイディ、ヴェッラッティ、モッタの3人が非常に元気でプレスをかけまくるのでほとんど前にボールを運べない。

前半20分ぐらいになるとPSGの勢いが落ち始め、チェルシーは1ボランチのモッタの横にあるスペースを使ってサイドで基点を作れるようになり、ジエゴ・コスタが惜しいシュートを放つなど盛り返したかなと思ったら、39分にイブラヒモビッチのFKが壁に入ったミケルの足に当たってコースが変わり、PSGが先制する。

が、その6分後に今度はチェルシーがCKを得ると、ニアに入ったジエゴ・コスタが頭でボールをそらし、それが中にいたミケルの足元に上手く入り込んでそのままシュート、ミケルが失点のミスを取り返す得点を決めてチェルシーが追いついて前半を折り返す。

後半になると、PSGはマテュイディがダブルボランチ気味に下がった事で中盤が安定し、序盤にカウンターのピンチは作られたものの、PSGが圧倒的にチェルシーを攻め立てる。しかしチェルシーもお家芸と呼べる中央を固める守備で何とかPSGの猛攻を耐え忍ぶ。

試合が膠着状態に入った後半29分に、PSGはルーカスに代えてカバーニを投入するが、結果的にはこのブラン監督の采配が当たった。抗体の4分後に、バイタルエリアでディ・マリアが縦パスを受けると、DFラインから右に抜ける動きを見せたカバーニに浮き球のパス、これをカバーニが角度の無いところからチェルシーGKクロトワの足元を抜く技ありのシュートを決めてPSGが勝ち越し。そして試合はそのまま動かず第1レグはPSGが2-1とリードした形で終わった。

やはりグループリーグでも感じた事だが、PSGは戦力的に極めて穴が少ない。中盤の3人は安定しているし、何よりイブラヒモビッチシステムによって、ディ・マリアがその攻撃面での万能ぶりを存分に発揮できている。ポジションに押し込められたマンU時代とまるで違うのは香川と同じだが、ハビエル・エルナンデスもそうだがマンUはそういう選手が多すぎないか(笑)。それはともかく、リーグ戦で戦力を温存できるし、CLの優勝争いはバルサとバイエルンが本命視されているが、PSGもイブラヒモビッチの出来次第だが対抗ぐらいの強さはあるんじゃないかと思う。

チェルシーは内容からすると、アウェイゴールを得ての1-2はある程度満足すべきところか。ホームでの第2レグも守備的な戦いを強いられるとは思うが、この試合と同様にカウンターやセットプレイでしっかり得点をものにしたいところだろう。

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