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「ベンチ外にされてしまった香川が、トゥヘル監督から問われているテーマとは」ドイツ・ブンデスリーガ第20節 ヘルタ・ベルリン-ボルシア・ドルトムント

昨日と今朝に行われたポカールで共に勝ち進み、準決勝での対戦が決まったドルトムントとヘルタ。しかしその前に、香川がベンチ外になった事でマスコミが大騒ぎになったリーグ戦での対戦を見てみた。

前節のインゴルシュタット戦で、スタメンで出場した香川が後半早々にカストロと交代させられたのを見て、トゥヘル監督はバイエルンでグアルディオラ監督が作ったようなチームを目指しているのではないかという推測を書いたのだが、この試合を見てそれがほぼ正しかった事を確信させられた。

「香川のゲームメイクをトゥヘルが拒絶するのは、あの偉大な監督の影響?」ドイツ・ブンデスリーガ第19節 ボルシア・ドルトムント-インゴルシュタット

そのテーマを一言で表すならば、「インテンシティの向上」。前半戦のドルトムントは香川のゲームメイクを中心にしたポゼッションサッカーで非常に好調だったのだが、相手のカウンターに対してはしばしばCBの2枚だけで守らなければならないという弱点を抱えていた。そして実際、ポゼッションで勝てないバイエルンとの対戦では5失点で惨敗している。だからトゥヘル監督は、ドルトムントがもう1段上のチャンピオンズリーグで戦えるチームにするには、その弱点をどうしても克服する必要があると考えたはずだ。

改めてヘルタ戦のドルトムントを見てみると、フォーメーションは4-3-3でSBの位置は前半戦と変わらず非常に高い位置を保っている。ヘルタは4-4-1-1という並びではあるが、SHに入った原口とカルーは、ドルトムントの両SBを完全にマークしてずっと低い位置になったままである。

そしてヘルタの前線、イビシェヴィッチとダリダの2人は、ドルトムントのCBよりもアンカーとインサイドハーフをマークし、ドルトムントのビルドアップを遮断しつつカウンター狙いというプランを取っていた。それでドルトムントは攻めあぐねたのだが、たとえ香川が先発してもさほど大きな違いは生まれなかっただろう。

トゥヘル監督は後半になると戦術的に修正してきて、マークされたSBをビルドアップに使うのではなく、ロイスやムヒタリアンが降りて来てビルドアップに参加し、SBがそのスペースに上がってウイングのようにプレイする形にして来た。これで原口とカルーがDFラインに吸収されてヘルタは6バックのような形を強いられてしまい、流れとしてはドルトムントの一方的なペースになったがゴール前を固めるヘルタの壁を崩し切れずに試合終了。

個人のゲームメイク能力に頼るのではなく、チーム全体のインテンシティやダイナミズムを高める方向に指揮官が舵を切った以上、香川もそれに合わせなければならないのは明白である。本田がミランで泥臭い役割を担うようになったように、香川も「自分たちのサッカー」から脱却出来るのかどうかが問われている。

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