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「この大勝はフィッカデンティ監督の遺産なのか?」ACLプレーオフ FC東京-チョンブリFC

ACL本戦への日本の出場枠は2014年から3.5になっており、広島と浦和、ガンバ大阪はストレートインだが、序列4番目のFC東京はプレーオフを戦う必要があり、タイのチョンブリFCとの試合が昨日行われた。

チョンブリは昨シーズンにも柏レイソルとプレーオフを戦っており、その時は延長で3-2とレイソルが辛勝したので、この試合も死闘になるかと思われたのだが、蓋を開けてみれば何と9-0という超大勝でFC東京があっさりと本大会への出場権を獲得した。

これだけの点差が付いてしまった理由は、東京が強かったというよりもチョンブリの出来が酷かった事に尽きる。確かに、現在のタイは最高気温が30度を超えており、逆に昨日の日本は最低気温が3度という寒さ。なのにチョンブリは半袖を着ていた選手も少なくなく、明らかにコンディション不良で動けていなかったのは事実だろう。

しかし、それを勘案してもGKとCBのプレイは言い訳のしようがない。前半6分のCKからのオウンゴールは不運だったとしても、その2分後に決まった阿部のゴールでは、CBのプックホムが1人だけポツンとラインの後ろに残ってしまい、シュートは特に強くもないのにGKタナチャイ・ヌーラーの股間を抜けてしまった。それだけでなく、もう1人のCBであるアンデルソン・ドスサントスは動きが緩慢で東京のラストパスに付いて行けず自動ドア状態。つーか、何でFW登録の選手がCBをやってるのか。

という状態だったので、FC東京の強さについては全く客観的な判断が出来なかったのだが、少なくとも城福監督がどういうサッカーをやろうとしているのかは良く分かった。

やはりそれは、城福監督が6年前にFC東京を率いていた時に掲げていた「ムービングフットボール」がベースになっている。フラットでコンパクトな4-4-2の形からラインを高く上げてボールを奪うと、後ろからどんどんと選手がボールを追い越して行ってパスコースを作り、ゴール前で人数をかけて決めきるというサッカー。その新生ムービングフットボールの象徴になりそうなのが、鳥栖から移籍した水沼宏太とハ・デソンの2人である。

右SHに入った水沼は、ボールを奪ってから精力的な飛び出しで何度もチャンスに絡み、決定的なシュートを数多く放っていたし(その割に得点はたったの1つだけだったが(笑))、ハ・デソンは米本よりも前に出て、フィジカルを活かしてファーストプレスをかけ、そこに東や米本が加わってボールを刈り取るという連動性が出来上がっていた。

後半からチョンブリは4-1-4-1にして来て、東京のダブルボランチの上がりをケアする形にして来たが、城福監督は4-3-3に変えて中盤の数的不利を修正してきた。リーグ戦でも、フラット4-4-2と4-3-3を相手によって使い分ける戦い方になるのだろう。

選手同士のポジショニング、カバーリングについてはフィッカデンティ監督時代ほど厳密ではなく、時折ルーズな部分が散見されるが、守備に切り替わった時の中盤のセットの仕方、DF4枚の絞り方についてはまだフィッカデンティ監督の遺産が残っているなと感じた。

かえってそれぐらいルーズな方が、米本にとっては自分の感覚がある程度活かせる分、前よりやりやすいかもしれない。が、そういうサッカーに慣れていくとだんだんゾーン・ディフェンス的な思考が鈍っていき、守備がバラバラになる危険性が出て来るので、そこを城福監督がコントロールしていけるかが今シーズンのポイントになりそうだ。

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