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「本田は、本当に自分のポリシーを変える決心をしたのだろうか」イタリア・セリエA第23節 パレルモ-ミラン

前節のミラノダービーでインテルに3-0で快勝したミラン。そこから中2日という過密日程で行われるパレルモ戦でもきっちりと勝利し、ダービーでの出来が決してフロックではない事を証明する試合となった。

試合結果こそ2-0とダービーよりも点差は付かなかったが、内容的には完全にミランが試合を掌握していた。前半19分に本田が相手に囲まれながら出した縦パスをオーバーラップしたアバーテがドリブルで持ち込み、クロスをニアでニアンが潰れて裏に飛び込んだバッカが合わせた華麗な得点で先制すると、その後もミランがずっとボールをポゼッションし続け、33分には明らかなハンドでPK、これをニアンが決めてミランが2点目ゲットする。

後半になるとパレルモが-2-3-1から4-1-4-1へとフォーメーションを修正し、それまではいいようにやられていたバイタルエリアをケアするようになってからはミランもボールが簡単に回せなくなり、ミラン自体も運動量のペースを下げて試合はイーブンな展開になり、前半はゼロに抑えた枠内シュートも後半は2本打たれてしまったが、ムード的にはほぼ危なげなくしっかり守り切って2-0で終わらせた。

今のミランが安定している理由としては、とにかく選手間の役割分担がはっきりしていて、なおかつそれがチームとして噛み合っているとい点に尽きるだろう。ニアンが左右に幅広く動いてポストワークをこなし、バッカはニアンが動いたスペースを使って裏抜けの動きで相手DFをかき回す。FWが作るスペースには本田やクツカが素早く埋めてトライアングルを作り、アンカーのモントリーヴォから彼らにパスが展開される。ボナヴェントゥーラは左からドリブルでチャンスメイクすると、右は本田とアバーテのコンビで崩す形が出来上がっている。

それまでは、ボナヴェントゥーラとベルトラッチのボランチは互いにバランスを考えずに動くので守備に大穴が空くことがしばしばあり、本田はサイドに張ったまま孤立、アバーテとのラインが切られてしまうとボナヴェントゥーラのドリブルぐらいしかミランに攻め手が無かった。そこにバランスを見ながら幅広く動いて守備が出来るクツカが入る事で、ボナヴェントゥーラがよりアンカー的な仕事に専念できるようになったのが一番の大きなポイントだが、本田がインサイドハーフ的な仕事をやるようになった点も大きいと思っている。

本田がサイドに張るだけじゃなくて中へ入ってプレイするのは以前からもあった事だが、それはほぼトップ下の位置に限られていて、2トップとポジションが重なって渋滞になり、結局パスが回って来ない事が多かった。しかも、本田がトップ下に入ると右サイドの広大なスペースをアバーテ1人が見ることになるので、守備の不安定さも増していた。しかし今はボランチの位置で中に入ってインサイドハーフ的にポジションを取ることで、チームのポジションバランスは格段に向上した。

と言うか、ゾーンをちゃんと理解して常にポジションを修正しているし、アバーテやクツカが上がった後のスペースは忠実にカバーし、スライディングなど対人の守備も厭わず、決定的なパスを出す事よりも中盤でミスなく味方にボールを繋げる事を優先しており、今の本田のポジションははっきりインサイドハーフだと断言して良いと思う。

ゴン中山が本田にインタビューする番組が正月にあったが、その中ではボランチへの転向について、本田は「ボランチはやりたくないし、そんな簡単なポジションではないので転向するには遅すぎる」と断言していたが、もはや完全に心を入れ替えたように思ってしまうのは考えすぎだろうか。もしそれが本心なら代表にとっても嬉しい事だけど、まだ代表では王様なのでそこまでは難しいかもなあ・・・でも香川と本田のインサイドハーフで戦う代表が実現して欲しいねえ。

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