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「あえてチームを作らない事が手倉森マジックなのかも」U-23アジア選手権 グループB 日本-タイ

日本が勝てばグループリーグ突破が決まるタイとの第2戦は、前半の27分に遠藤の浮き球スルーパスに抜けだした鈴木武蔵がスクリーンしながらのゴラッソゴールで先制すると、後半4分には原川のクロスに矢島が合わせ2点目、そして交代で入った久保がPKを含む2ゴールを決めて日本が4-0と大勝した。

とは言え、決して結果ほど楽な試合ではなかった。日本は初出場の亀川と奈良が不安定、遠藤もミスが多くて、序盤に見せたタイの猛烈なプレスに自陣でロストを連発、先制点を取られてもおかしくないシーンが何度もあったし、後半に亀川が与えたPKを失敗してくれて、それ以降は明らかにタイのモチベーションが落ちて日本は一気に試合が楽になった。どちらかの時間に点を取られていたら、モメンタムがガラッと変わっていたはず。

ただ、初戦からすると日本も多少は良くなっていて、タイが繋いでくるチームというのもあるが、CBで先発した奈良がマイボール時には積極的にラインを押し上げ、中盤も常に4-4のゾーンをセットしようと確認する動きが見られていた。が、相変わらずパスを貰いに行くフォローの動きや、選手が動いた後のポジション修正は完全に選手任せで組織化されておらず、ビルドアップはアップアップで危険なロスト一歩手前のシーンは多いし、セカンドボールを拾うのに誰もそこにいないという場面が頻発していた。

そんな中でも、矢島と原川は「個人の判断で」フォローの動きが良く出来ていた。遠藤は相変わらずポジションがフラフラしていて、守備ではタイのエースであるチャナチップをマンマークしていたので、それで空いたスペースを矢島が埋めたり、さらに矢島のスペースに原川が動いたりと、パスコースを作ってボールを引き出すプレイで右サイドは良いリズムになっていた。逆に左サイドは死んでおり、亀川はポジショニングが悪くてタイに狙われ、豊川は味方のタイミングを測らずに飛び出すばかりで空回り。左FWの浅野は孤立して単独で飛び出すプレイぐらいしか出来なかった。

それにしても、戦前はあれだけチームが不安視されていたのに、とりあえずここまでは選手をターンオーバーしながら2連勝で5得点の失点0と経過は申し分ない。日本にはこれといった組織もベストメンバーも無いが、それがかえってこういった短期決戦では、相手も日本を研究し切れないしサブメンバーの意識やコンディションも落ちにくい効果があるのだろう。まあそれで負けていたらどうしようもない戦略だが(笑)、今のところは手倉森監督の策は成功していると言えるのだろう。

そしてこの試合の後に行われたサウジと北朝鮮の試合は3-3のドローに終わり、これで最終戦を待たずして日本は1位通過が決定した。どうも日本の場合、グループリーグ最終戦が消化試合になると、次の試合で気が抜けてしまうのか勝てないパターンが多いので、ここを戦略的にどう使うかが最大のポイントになるかもしれない。

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