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「岡崎のリスクをかけた挑戦がもたらしたシーズン3点目」イングランド・プレミアリーグ第17節 エバートン-レスター・シティ

シーズン前半戦を快走している絶好調のレスター・シティ。クリスマス前の強豪との連戦ではさすがに順位を落とすかと思いきや、マンU、チェルシー、エバートンにも負けず何と11戦無敗のまま単独首位でクリスマスまでたどり着いてしまった。

とは言え、さすがに他チームもレスターをノーマークのままでいるはずも無く、エバートンはレスターの強固なゾーン・ディフェンスに対してしっかり対策を施して来た。

エバートンのフォーメーションは4-3-3で、攻撃時にはボールサイドのSBが高く上がって4トップのような形になる。これはサンフレッチェ広島の形と同じような狙いで、相手の4バックが3トップを見ているその外側に選手を余らせて、そこを基点にクロスや中へのボールを供給、そしてルカク、コネのフィジカルモンスターがボールをキープして中盤につなげてミドルを打ったりする。これで前半のレスターはほとんど前に出ることが出来なくなっていた。

そして守備では、レスターの4-4-1-1の中盤4人に狙いを定めてプレスをかけてボールを下げさせ、DFにロングボールを蹴らせて来た。レスターはヴァーディが裏抜け専門のポジションを取るため、先発した岡崎がロングボールのターゲットにならざるを得ず、当然ながら相手マークの餌食になってボールをロストしてしまう場面が頻発する。もしこのまま前半を終えてしまっていたら、岡崎は後半からサクッと代えられていた可能性は高かったはず。

しかしこの試合の岡崎は、それに怯むこと無くほとんど2トップのような形で積極的にゴール前へ飛び込む姿勢が目立っていた。そしてその気迫が通じたのか、26分に左サイドに送られたボールを岡崎が拾うと、上手く体を入れ替わってPA内へドリブル、そこを後ろから絡むように倒されたのがPKと判定される。プレミア基準ではファールは微妙なところで、岡崎は相手との競り合いで良く倒れこむだけに審判に取ってもらったのはラッキーだった。

後半になるとラニエリ監督から指示が出たのか、岡崎がいつものようなトップ下の位置で積極的な守備を見せるようになり、その効果とエバートンのペースが落ちたのもあってレスターが攻勢を強める。そして後半20分に、マフレズのドリブルからヴァーディが裏へ抜けだす黄金パターンが炸裂すると、エバートンGKティム・ハワードが足を払ってしまってPK。これでレスターが勝ち越しする。

さらにその4分後、エバートンの右SBが自陣でパスをレスターの選手に当ててしまい、こぼれたボールをヴァーディが拾うと、センターにいた岡崎に横パス、岡崎はトラップが左に大きくなってしまったが、それが上手く相手のマークを外す動きになって、そのまま踏み込んでゴール左端にシュートを突き刺した。これが結果的にレスターの決勝点となり、チームにとっても価値ある1発だった。

岡崎は、後半39分に右サイドのスペースに抜け出し、カットインからGKと1対1になりそうなチャンスがあったが、既に相当疲労が溜まっていたようで、カットイン後につまずいてしまって2点目はならず。ヴァーディと交代で入ったウジャーも決定機をものに出来ず、44分にまたもゴール前の混戦からミララスに決められ1点差になるものの、何とか時間を稼いで逃げ切りレスターが連勝を飾った。

フィジカルで不利になる事が分かっていていて、それでも守備だけじゃなく積極的にゴール前にポジションを取って点に絡むという、岡崎のリスクをかけた姿勢が結果を呼び込んだ事は間違いない。ヴァーディが足の違和感で交代したのを見ても、これから年末年始にかけて岡崎の先発は増えるだろう。ここで確固とした立場を築くことが出来るか、彼にとっても大きな正念場である。

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