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「後半になってようやく輝いた原口、試合全体で完全に消えていた武藤」ドイツ・ブンデスリーガ第17節 ヘルタ・ベルリン-マインツ

マインツのここまで7位という順位は、謎の幸運と攻撃陣の好調さによるもので、チーム全体の力を表していないとさんざん書いてきたのだが、それがとうとう原口のいるヘルタによって化けの皮が剥がされてしまったとは皮肉である。

何しろ、マインツは後半25分になるまでシュートが何とゼロ。武藤は後半20分に交代したわけだが、その間は彼個人はもちろんチームにもシュートが無かったと言うことだから、どれだけマインツが何も出来なかったかが良く分かる。

試合の序盤からマインツは自陣の低い位置にゾーンを組んでヘルタの攻撃に網をかけはするのだが、マイボールになってもラインが低いままなので、前線と中盤との間が広~く間延びし、中盤がボールを受けても余裕でヘルタに詰められているのでバックパスをするしかない。武藤も中盤に下がってポストをしようとするのだが、DFからの距離が遠いのできっちりマークに付かれて体を当てられボールをロストするばかり。

逆にヘルタは全体がコンパクトでSBも高い位置に上がり、ルステンベルガーがアンカーの位置に下がってビルドアップ、1トップのイビシェヴィッチやトップ下のダリダにボールを当ててボランチがフォロー、サイドのカルーや原口に展開し、SBのヴァイザーが絡むという攻撃の流れがスムーズで淀みが無い。

しかしベタ引きのマインツが最後の部分で踏みとどまっているので、ヘルタが一方的に攻めながらも得点は出来なかったのだが、前半34分にたまたま色気を出してしまったのか、バウムガルトリンガーが高い位置まで上がって出来たスペースでダリダにセカンドボールを拾われ、ダリダはそのままドリブルで持ち込んでゴールを決めてしまう。

そこから多少はマインツも前に出て来るのだが、武藤は普段からDFとの競争なら抜け出すスピードがあるはずなのだが、この試合では追いつかれてしまう場面が多く、明らかに疲労が蓄積していてキレがない。そして後半9分にカウンターからカルーに中へ切れ込まれて1点目と同じようなシュートを決められ2点差に。

その後マインツは武藤を下げて2トップにして形的には攻勢を強めるものの、逆にヘルタの方にカウンターの場面が増え、そこまではあまりボールをもらえてなかった原口が躍動し始め、イビシェヴィッチがオフサイドやシュートミスをしてしまったが、アシストが3つ付いてもおかしくないチャンスメイクで存在感を見せ、試合はそのまま2-0で終了した。

原口が後半になるまであまり目立たなかった理由は、相手のSBがほとんど上がらずスペースを抑えられていたのと、SBのヴァイザーが攻撃的なので原口が後ろのカバーを考えながらプレイせざるを得なかった事情はあるのだが、もうちょっとプレイスタイルの幅を持てればもっと味方からボールをもらえるだろうにと思ってしまった。

だいたい、原口が右サイドでボールを受けた場合のプレイの選択肢としては、そのまま縦にドリブルするかグラウンダーのクロスの2択になってしまうのだが、そこに香川のようなサイドチェンジや、DFライン裏への浮き球パスなんかが加わるようになれば、もっと味方からも頼られるし、そこから自分が得点できるポジションに入る事ができるようになる。

シュートやアシストという結果にこだわるのであれば、ラストプレイの1つ前での貢献度を高める事がポイントになるという事を、香川のプレイから学んで欲しいところだ。

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