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長澤選手の浦和移籍に見る、「Jスルー組」が海外で苦闘する理由

昨日、ケルンの長澤選手が浦和レッズに完全移籍し、そのまま千葉にレンタルされるというニュースが突然飛び込んで来て驚きました。

ケルンが長澤を放出するかもという噂はありましたが、レンタルでブンデス2部への移籍が濃厚と言われていただけに、Jリーグに完全移籍という話は全くの予想外でした。

長澤のプレイを初めて試合で見た時には、香川のように狭いバイタルでボールを受けられるスキルを持ち、俊敏性とスタミナ、重心の低いドリブルによる推進力を兼ね備え、将来的には日本を背負って立つ逸材だと思っていました。

が、昨年の夏に左膝の内側靭帯を断裂する大怪我を負ってしまい、まるまる半年を棒に振った後でまた感染症にかかってしまって1年間試合に出られず、今期になって出場機会はあったもののプレイに精彩を欠いてベンチからも遠ざかる日が増えていたので、移籍は避けられなかったのは事実ですが・・・

それにしても、これで平山相太、伊藤翔、宮市亮、指宿、長澤と、Jリーグで実績を残す前に欧州に渡った、いわば「Jスルー組」と呼べる選手が、軒並みトップチームに定着するまでに至っていないという事実に愕然とさせられます。丸岡はまだドルトムントにいますが、未だトップには参加できず浮上のきっかけが見いだせませんし、これではサンガユースの至宝と呼ばれる奥川君も心配になります。

それとは対照的に、Jリーグでしっかりと実績を挙げた選手が、ブンデスリーガを中心に高い確率で戦力になっている現実からすると、この落差は決して偶然とは思えません。その原因については、とうてい素人の私が図り得るものではありませんが、1つ無理矢理に類推するとしたら、それは成功体験の少なさなのではという気はしています。

良く子供は褒めて育てろと言われますが、それは調子に乗らせるとかの話ではなく、褒める事によって子供が成功体験を積み重ねられるという事実が重要なんですよね。成功体験が自信につながり、自分はこの世に生きて良い人間なのだと確信を持つことが出来る。逆に成功体験が持てなかった人間は、すぐに自暴自棄になったり、言葉や体だけで求められる事を愛されていると勘違いし、DV関係や共依存に陥ってしまいやすくなるわけです。

ちょっと話が脱線してしまいましたが、結局は全てが上手く行っているうちはいいけれど、怪我などでいったん調子が落ちてしまうと、成功体験が少ない選手はそのまま泥沼にズルズル嵌ってしまう可能性が高いのではないかと。特に海外の場合は、ただでさえ生き馬の目を抜くような激しい競争社会である上に、周りにサポートしてくれる人が少ないので余計に立ち直りの力になるきっかけが出来にくいのではないかと思います。

以上はあくまで私個人の想像に過ぎませんが、上記の選手たちが現在活躍している海外組に引けを取らない才能を持っていたのは間違いなく、ポイントはフィジカルうんぬんよりもメンタルにあると考えるのが自然です。とにかく、この問題を横断的に扱えるのは協会しかありません。海外組の選手や代理人にヒアリングを行い、メンタルや環境のチェックリストを作るなど、これ以上、貴重な若きタレントが同じ失敗を繰り返す事が無いようサポート体制を整えてもらいたいものです。

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