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「戦略と結果は完璧だったが、好事魔多しとはこの事か」クラブW杯1回戦 サンフレッチェ広島-オークランドシティ

先週の土曜日にチャンピオンシップを戦い、クラブW杯を勝ち抜いた場合は準決勝まで中2日の試合が連続するという、超過密スケジュールに直面した広島は、オークランドシティ相手の開幕戦で先発を6人入れ替えるという思い切ったターンオーバーに出てきた。

しかし広島は序盤からサイドを高く上げてボールを支配する無難な立ち上がりを見せ、9分にはショートコーナーからボールを受けた野津田がミドルシュートを放つと、無回転気味に飛んだボールをオークランドシティGKスプーンリーが弾き、中に詰めていた皆川が上手く押し込んで広島がまんまと先制する。

その後は一転して広島が5バックを自陣に固めてスペースを潰し、カウンター攻撃が持ち味のオークランドシティが攻めあぐねる展開が続く。が、好事魔多しとはこの事で、11分に野津田がオークランドシティの岩田と交錯した際に足を痛めて早々に柴崎へと交代してしまう。さらに後半早々にその柴崎もまた怪我をしてしまって、温存のはずだったドゥグラスが急遽出場、広島はさらに清水まで怪我で佐々木に交代するなど、3人の交代枠を全て怪我人で使い切ってしまった。

おそらく野津田、柴崎、清水の3人はクラブW杯中の復帰は難しそうで、ターンオーバーで乗り切るはずだった森保監督のプランは思わぬ形で最初から躓く事になってしまった。監督の発言によれば、優勝決定後はいろいろなイベントがあって多忙で、選手も体のケアがろくに出来ていなかったらしいが、チャンピオンシップをスケジュールにねじ込んだ影響がここにもはっきり出てしまったと言えよう。

試合は後半も徹底的に省エネを貫く広島の前に攻め手が見いだせず、広島は青山の展開パスを中心にカウンターを狙う形になるが、数少ないそのチャンスにドゥグラスが決められず試合は膠着状態に。そして25分に、左サイドでボールを受けたドゥグラスをCBの塩谷が長い距離を走って追い越し、クロスのつもりだった折り返しが相手に当たってGKの脇を抜けるラッキーな得点で広島が2点目をゲット。この日の広島であればこれで十分だった。

あとはオークランドシティの岩田に柏のひざが入ってしまって流血、背番号のないユニフォームに着替えて出場したというアクシデントはあったが試合に動きは生まれずそのまま試合終了。広島は大きな代償を払いながらもアフリカ王者マゼンベとの準々決勝に進出した。

森保監督はさすがだなと思ったのは、チャンピオンシップから時間が経ってないのにきっちりと相手を研究している事で、広島は5-4-1のような形で守って、1トップの皆川はアンカーの選手にプレスはかけるがCBには自由にボールを持たせていた。しかし彼らはフリーでボールを持ち上がってもミスパスを連発し、守りを固めた広島相手に全くと言っていいほど有効な縦パスを入れられず、かと言ってハイボールで攻めても来なかったので、広島の守備陣が脅威を感じるような場面はほとんど無かった。これは間違いなくスカウティングの勝利だろう。

せっかくターンオーバーを敢行して初戦を乗り切ったのに怪我人続出でプランは崩壊してしまい、マゼンベとの試合でやれる事は限られるだろうが、森保監督なら何とか最善手を打ってくれると期待したい。

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