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「最後まで宇佐美に殉じてしまったガンバのチャンピオンシップ」Jリーグ・チャンピオンシップ第2レグ サンフレッチェ広島-ガンバ大阪

ガンバのホームで行われた第1戦を3-2と広島がリードして迎えた、エディオンスタジアム広島での第2戦。スタメンは、ガンバが第1戦の退場で出場停止になったオ・ジェソクに代わって米倉が入っただけで同じメンバーでの対戦になった。

2点差をつけられなければ良い広島はあまり高い位置からプレスを仕掛けてこず、自陣の低めの位置に5バックのディフェンスを敷いて専守防衛の形を取る。

ガンバの狙いは、第1戦に引き続いて青山とミキッチで、青山に対しては長沢が常にケアをしてパス出しを許さず、ミキッチには対面する右SHの大森がマークを引き付け、その裏を藤春がオーバーラップして攻撃の基点を作り、そこからさらに逆サイドが攻め上がってシュートを狙う意識が徹底されていた。

そのままガンバがペースを握り続けた前半の26分に、遠藤のCKからファーにいた今野がボレーシュート、それを広島の佐々木がヒールで反応してしまい、コースが変わって広島のゴールに決まってガンバが先制する。

これでガンバがあと1点を追加すればアウェイゴールで逆転という形になり、さすがに広島も少し前に出て来るようになったが、ガンバのペースである事は変わらないままに前半を終了する。

後半は広島がペースアップをしてくるかと思ったのだが、森保監督が取ってきた手段は意外にもより守備的な方針で、前半は攻撃に出る意志が強かったミキッチを完全にDFラインの位置に押しとどめて藤春の上がるスペースを潰しにかかった。

これでガンバの攻撃は攻めこむ基点を失ってしまい、チーム全体の運動量が落ちてパスコースも作れなくなって一気に閉塞感が出てきてしまう。そして大森に代えて倉田を入れても大勢が変わらなかったガンバは、後半19分に長沢からパトリックに交代、ロングボールを彼に集めて逆転を図る。

が、試合は第1戦と同じように広島が後半の強さを見せる。後半21分にカウンターから右サイドの柏がクロスを上げると、途中出場した浅野がドンピシャのタイミングでヘディングを決めて広島が同点に追いついてしまう。

これでアウェイゴールのために優勝にはあと2点が必要になったガンバはパワープレイで最後の勝負に出るものの、守備を固めた広島の前にことごとくクロスは跳ね返され、結局試合は1-1のドローで終了、広島が2年ぶりのJリーグチャンピオンに輝いた。

結果的には、第1戦で今野のミスによって失点した最後の1点が勝負を分けてしまった格好になったが、2戦を通しての戦略という意味では、宇佐美と浅野という今後のA代表を担うべき選手の使い方に差があったように思う。

宇佐美はチャンピオンシップの2戦とも終始足元でボールを受けるだけで広島の徹底したマークを剥がせず、運動量が少なくて攻守に存在感が薄かった。が、長谷川監督は第1戦のロスタイムに交代させただけでずっと起用をし続けた。

逆に森保監督は、浅野をあくまでジョーカーとして佐藤寿人の交代枠として使い、ガンバが疲れた後半に投入して試合をかき回し、第2戦では優勝を決定づける得点を決めた。

広島の攻撃のキーマンであるミキッチを完全に抑えこんだように、長谷川監督のゲームプランが悪かったわけではないのだが、ずっと本調子に戻らない宇佐美を試合に残さざるを得なかったガンバに対し、ミキッチと佐藤寿人という中心選手を変えることで試合を活性化させた広島。その選手層の厚さ、戦略の的確さが如実に現れたチャンピオンシップだったように思う。

そういう意味でも、広島はJリーグの頂点へ立つにふさわしいチームだったと言えよう。優勝の美酒を味わう暇も無く、広島にはこれからすぐにクラブワールドカップがやって来るが、是非とも準決勝に進んでJリーグの価値を示してもらいたい。

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