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「ウジャーをパトリックではなく岡崎のように使った、ラニエリのリアリズム」イングランド・プレミアリーグ第14節 レスター・シティ-マンチェスター・ユナイテッド

まだシーズン前半とはいえ、まさか首位争いの対決になるとは誰も思っていなかったレスター対マンUの試合。そして内容もがっぷり四つで、ヴァーディがプレミアリーグ新記録となる11試合連続ゴールという華々しいニュースもあり、ややスケールは小さいがなかなかに盛り上がった試合であった。

そんな大一番に岡崎は先発出場したわけだが、ポストプレイのボールロストが多くて前を向いても相手の素早いチェックにパスが引っかかることが多く、一度DFラインの裏でスルーパスを受けるチャンスはあったが、ボールを受ける体の角度が悪くて真後ろにトラップしてしまってシュートまで行けず。失点場面ではシュバインシュタイガーをマークしていたのに振り切られてゴールを許すなど、あまり見どころのない出来で後半16分にウジャーと交代してしまった。

という感じで、一見するとせっかくのアピールチャンスに失敗しただけのように思えるのだが、試合を通じてみると岡崎には極めて重要な戦術的なタスクが与えられていて、それを懸命にこなし続けていた事が勝ち点1ゲットに繋がったという事が分かって来る。

まず岡崎が先発で起用されたのは、岡崎がトップよりも低い位置でポストプレイをする事によってマンUのCBを引き出し、ギャップを作ってヴァーディを裏に飛び出しやすくさせる狙いがあったのだろうと思っている。しかし少しラニエリによって誤算だったのは、ファン・ハールがそれを予測したのかどうかは分からないが、マンUが3バックで来てしまった事。それによって、CBの1人が躊躇なく前へと出て行けるために、岡崎のポストプレイが狙い撃ちされてしまった。

しかし3バックは守備面では良いが攻撃に影響が出ていて、ルーニーとマルシャルのコンディションが悪くて前線のモビリティが少なく、これもラニエリ起用の狙いなのだが、岡崎がマンUボール時には中盤まで下がってシュバインシュタイガーとキャリックの間に位置取ってビルドアップを阻害しているため、攻撃の組み立てがサイドに偏って単調になってしまっていた。なので、マンUのチャンスらしいチャンスはカウンターからしか生まれず、互いに攻め手が少ない前半になっていた。

それだけに、そこまでほとんどの時間で消えていたのに、前半24分にGKからのフィードからフクスがロングスルーパス、それをDFラインギリギリで抜けだしてワンチャンスでゴールを決めたヴァーディの勝負強さ、集中力は素晴らしいと言うしか無い。もはや完全にフロックを通り越して本物と呼べる存在になってしまったと言え、ビッグクラブにとって次オフ最大のターゲットになる事は間違いないだろう。

後半16分に交代したウジャーだが、ちょっと驚いたのはラニエリ監督はウジャーに対してほぼ岡崎と同じ仕事をやらせていた事である。昨日見たガンバ対広島では、それまで長沢が懸命にやっていた青山のマークをパトリックが放棄してしまった選手交代と比べると実に対照的である。

ウジャーは得点は決められなかったが2度のシュートチャンスを作り出し、単にそれだけを見ると岡崎よりも活躍をしたように見えるが、守備のタスクでは明らかに岡崎よりもプレスバックするスピードが遅くてマンUに試合の試合を許してしまっていた。それだけ、この試合で岡崎に課されていた戦術的なタスクが重要だったかという証明であり、その点では十分岡崎は義務を果たしたと言える。

レスターはこれから年末にかけてチェルシー、エヴァートン、リヴァプール、シティら強豪との重要な試合が続くので、これからも間違いなく岡崎の出場機会は出て来るはず。その難しいタスクをこなす中で、何とかゴールという結果を出してもらいたいところだ。

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