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「サイドでジャンケンポンをする大迫、マインツじゃなくてレスターの岡崎化している武藤」ドイツ・ブンデスリーガ第13節 ケルン-マインツ

ホッフェンハイムのギズドル監督、シュツットガルトのツォーニガー監督が解任されるなど、今期は攻撃的な戦術を駆使するチームが苦戦しているブンデスリーガ。大迫と武藤が出場したこのケルンとマインツの試合も、お互い守り合いのような形になったしょっぱい試合で、チャンスも少ないスコアレスドローに終わってしまった。

戦術的にはケルンが4-4-2でマインツは4-2-3-1だが、どちらも守備時には4-4-2の3ラインの形になって徹底的にスペースを埋める形。こうなると、中央での打開は厳しくてどちらがサイドの主導権を握るかが試合の流れを決めるのだが、序盤はケルン、中盤はマインツ、終盤はまたケルンというような感じではあったが、完全にどちらへ流れが傾いたような時間帯は少なかった。

という試合なので、日本人選手の出来に焦点を当てて見ていたのだが、まず大迫はもう最近ではすっかり右SHでの出場が板についてしまい、60分にホジナーが下がってからは代わりにトップ下の位置に入ったが、その時間にやっとシュートを1本打ったのみ。

ただ、ケルンの中では唯一と言って良いほどチャンスメイカーとしては機能しており、右サイドでボールを持てば確実に味方へとパスを繋ぎつつ、機を見て突破からのクロスやスルーパスと、アシスト未遂の場面は多く作っていた。が、そのクロスだがドリブルでえぐってマイナス方向に上げたかと思うと、次の機会はダイレクトで低いクロス、そしてその次はアーリークロスと、同じクロスでもジャンケンのようにやり方を毎回変えていたのにはちょっと笑ってしまった。

おそらく、ドルトムントのような香川のサイドチェンジからギンターのダイレクトクロスをオーバメヤンが合わせるといったような攻撃のパターン化がされておらず、前線に誰がどう飛び込むかが決まってないんだろうね。だから、クロスを上げる側がその時々のゴール前での状態に合わせなければならない。その気苦労を考えると目頭が熱くなる(苦笑)。

大迫としてはFWでの起用を欲しているのだろうが、スペースが空くはずの後半でさえトップ下にまともなパスが来ないチームでは宝の持ち腐れであり、チーム事情を考えたら中盤起用はやむなしだろう。だからケルンに在籍する限りは、あきらめて中盤の選手として大成するしかないって(笑)。

武藤については、代表戦の後で動きの量やキレがいつもよりレベルが下がっていたのは確かだが、それよりも最近の活躍で相当研究されるようになってしまったなという印象。

以前であれば、オフサイドラインギリギリやサイドのスペースに飛び出せていたんだけど、DFラインが武藤の動き出しを警戒し、あまりスペースを作らせてくれなくなった。そしてボールを持つと間合いをすぐに詰めて来る。武藤はスペースがあるとターンやドリブルで抜けるスピードがあるので、それが出来る余地を作られないようになった。

守備陣が武藤に引きつけられる分、相手のチームのバイタルがやや空き気味になるので、ケルンは2列目のマリやデ・ブラシスが前でボールを持てるようになり、特にマリはバイタルで前を向くと必ずシュートで終わってしまうので、ちょうど岡崎が囮&守備専門になってヴァーディとマフレズだけがシュートを打ちまくるレスターのような状況になってしまっている。それを打開するのは、単にフィジカルやスピードで守備を破ろうとするのではなく、相手の逆を取る動きやラインとの駆け引きといった個人戦術での工夫が必要になって来るだろう。

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