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「単独首位に立ったインテル、はっきり見えてきたマンチーニの戦略」イタリア・セリエA インテル-フロジノーネ

ユーロやW杯予選明けのリーグ戦は、ドルトムントなど代表選手を多く抱えるチームが軒並み苦戦している中、インテルは昇格組のフロジノーネに対して4-0できっちり勝利し、フィオレンティーナがエンポリに引き分けたためにこれで単独首位に立つ事となった。

フロジノーネのフォーメーションが4-4-1-1なのに対し、インテルはイカルディの1トップに、リャイッチ、ヨヴェティッチ、ビアビアニーを2列目に置いた4-2-3-1で、ほぼミラーのマッチアップにして来た。

前節のトリノ戦では、3-5-2のトリノに対しインテルも同じ形でぶつけて来たように、マンチーニの基本戦略はフォーメーションのミスマッチを起こさず、ピッチ全域で1対1の局面を作り、個人能力で勝つ事でトータルとして試合を優勢に持ち込むやり方である。そして、相手の各選手の能力に応じて、メンバーの中から最適な選手を選び出し、明確なタスクを与えるわけだ。

マンチーニにとっての長友の起用法は、スピードとアジリティ、運動量を活かした相手のキーマン封じ。ローマ戦ではジェルビーニョとサラー、トリノ戦ではブルーノ・ペレスを抑えこんだように、フロジノーネ戦では相手の10番であるソッディモを封じる役割を与えられた。

ハンダノビッチのスーパーセーブに救われたが、一度長友がオフサイドラインから取り残され、遅れて上がったところをソッディモに入れ替わられてシュートを打たれてしまったが、それ以外の場面ではきっちり抑えこみ、今やすっかり攻撃ではなく守備の人としてインテルに貢献するようになっている。

もう1人の守備のキーマンはフェリペ・メロ。ブラジルのアンカーらしくあまり戦術的な動きはしないのだが、どっしりと自陣バイタルにポジションを構えて相手の攻撃を的確に摘み取って行く。ムリージョとミランダのCBコンビの固さに加え、彼が中央を締める事がインテルの鉄壁を支えていると言っても過言ではない。

そして攻撃では、相手のサイドに守備の問題があると見たのか、左SBのアレックス・テレスが積極的にオーバーラップを仕掛けてリャイッチと絡み、右は長友が守る分単独で打開できるビアビアニーを置き、サイドからフロジノーネを執拗に攻め立てる。先制点も左でリャイッチが打ったシュートをGKがブロックしたボールをビアビアニーが押し込んだもので、マンチーニの戦略が見事に嵌った得点であった。

後半8分にインテルはイカルディが2点目を決めると、太ももに張りがあった長友を15分に下げてラノッキアを入れ、早くも3バックで試合を殺しにかかる余裕のマンチーニ采配。最終盤にはペリシッチとブロゾヴィッチを投入、そのブロゾヴィッチが4点目を押し込んで試合終了。

インテルはこれで無失点で4連勝。今回は相手が弱いとはいえ、ようやく攻撃陣が爆発。当面は大崩れも無さそうで、CL出場権の道ははっきりと見えてきた。長友も監督からの信頼を取り戻し、このまま良い流れは続きそうで嬉しい限りである。

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