旧閑ガゼッタ

「ボスニア・ヘルツェゴビナの不可解な臆病さ」EURO2016 予選プレーオフ第2レグ アイルランド-ボスニア・ヘルツェゴビナ

ボスニア・ヘルツェゴビナのホームで行われた第1レグでは、濃い霧の中でボスニア・ヘルツェゴビナが終始ボールを支配するもののカウンターから失点し、その後ジェコのゴールで追いついた試合の流れになったが、アイルランドホームの第2レグではガラリと試合の様相が変わった。

フォーメーションこそ、ボスニア・ヘルツェゴビナが4-4-1-1、アイルランドは4-2-3-1と第1レグと同じような並びではあったが、アイルランドのDFラインが積極的に押し上げてボスニア・ヘルツェゴビナのパスワークを高い位置でカット、そこから2列目がサイドのスペースに飛び出してカウンターを仕掛け、いったん攻撃が止まってもそこからSBがさらにオーバーラップする怒涛の攻めでボスニア・ヘルツェゴビナを攻め立てる。

対するボスニア・ヘルツェゴビナは、アイルランドのプレスの前にビルドアップがままならず、攻撃のキーマンであるトップ下のピャニッチが何度もボランチの位置まで下がってボールを受けに来る始末で、ジェコら前線の選手がボールキープやドリブルといった個人能力だけで何とか打開を試みる状況。

すると24分に、アイルランドのダリル・マーフィーが上げたクロスがズカノビッチの手に当たったと判定されてPK。これをウォルタースが冷静に流し込んでアイルランドが先制。審判によっては流す判定だったが、ホームアドバンテージというところか。

これでボスニア・ヘルツェゴビナが攻勢を強めるかと思いきや、確かに前線のドリブルスピードなどは上がったかもしれないが、肝心の攻撃にかける人数はそれまでと同様に少ないままで、とても波状攻撃とは呼べない単発での攻撃のみ。チャンスらしいチャンスは、ジェコの頭にロングボールを当てて落としたところをメドゥニャニンがボレーで打った場面ぐらい。それもボールは枠外へ。

後半からボスニア・ヘルツェゴビナはベシッチを投入するも、ポジションがSBなのであまり攻撃面でプラスにはならず。後半からは守備に重点を置いて堅くゾーンを組むアイルランドを攻略できない。ボスニア・ヘルツェゴビナは、ようやく後半24分にジュリッチを入れて2トップにするも、その1分後にアイルランドは左サイドからのFKを得ると、ブラニェシュがクリアしたボールが不運にもウォルタースの前に飛び、これをボレーで叩き込んでアイルランドが2点目。これでほぼ試合は決まってしまった。

PKによる先制点後にボスニア・ヘルツェゴビナがそれほど攻めに転じ無かったのは、2点目を入れられてしまう事を恐れたのかもしれないが、それにしても不可解なまでの臆病さだった。この辺が、W杯やEURO常連国でないがゆえの経験不足なのかもしれない。とは言え、アイルランドの堅守とハイプレスを使い分ける戦術の柔軟性は見事だった。本大会でも、強豪相手にアップセットを起こせる存在になる事は間違いないだろう。