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「清武の”ショットガン・フォーメーション”がハノーファーを救う鍵になる?」ドイツ・ブンデスリーガ第12節 ハノーファー-ヘルタ・ベルリン

昨シーズンは共に残留ギリギリの成績で終わった両チーム。しかし今期はヘルタが6位と大躍進を果たしているのに対し、ハノーファーは14位と相変わらず残留ラインをウロウロ。そのチーム力の差が如実に出てしまった試合となった。

フォーメーションはどちらも4-2-3-1で、守備時は4-4-2のゾーンを組むところまで全く同じのマッチアップ。そうなると当然、試合の立ち上がりはプレスの掛け合いで中盤でボールが行ったり来たりの忙しい流れになる。

少し試合が落ち着いて来ると、ポゼッションでははっきりヘルタが上回るようになる。ヘルタはSBが高めの位置に上がり、CBとSB、ボランチの間でスムーズなビルドアップが出来ており、1トップがカルーなので中でのポストプレイは無いものの、ヴァイザーと原口というスピードを持ったウイングがボールを運べるので基点がしっかり作れる。

対するハノーファーは基点らしきものは清武とソビエフのみで、サイドで劣勢になっているため彼らにボールが入っても周りのフォローがなく、右SBで先発した酒井宏樹も原口のマークに忙しくてオーバーラップ出来ず。トップ下の清武が正確にワンタッチでボールを叩いて展開を促すものの、そこからボールがなかなか繋がって行かない。

前半30分頃から、それまで自陣で堅く閉じこもっていたハノーファーが前に出て来るようになるが、そういう時には得てして罠にハマるもので、33分に中盤でボールを奪ってヘルタがカウンターから原口に展開、原口は酒井宏樹に縦を切られたものの、カルーへのスルーパスがきっちり決まり、カルーはDFに囲まれながらも股を抜くシュートを決めてヘルタが先制する。

ハノーファーは後半から、前節で活躍したサン・マクシマンを投入するが、試合の流れはなかなか好転しない。そのポイントになったのはヘルタのトップ下で先発しだダリダの存在。彼は言わばヘルタにとっての岡崎のような存在となり、テクニックこそそんなに無いが中盤で動きまわって、基点になりにくいカルーをしっかりサポートしていた。後半15分にはヘルタに追加点が生まれるが、それもボールを奪ってからのダリダによるスルーパスからであった。

後半25分に、ハノーファーは清武からの縦パスの流れでベックが倒されPK。これを清武がコースに決めて1点差に追いつく。その直後にエルディンチが投入されるが、何と彼はトップ下の位置に入り、清武がボランチに下がった形になる。

この効果は劇的で、清武がマークを受けないボランチの位置から縦パスがビシビシと通るようになり、試合の形勢は一気にハノーファーへと傾く。が、今度は前線に清武がいないのでそこからなかなか決定的なチャンスに持って行けないというジレンマ。そうこうしているうちに、後半42分に今度はヘルタに帳尻気味のPKが与えられてしまい3-1。これで試合は決まってしまった。

原口は前半に左サイドからドリブルで切れ込んでのシュート、後半には左サイドでフリーになったものの足元でキープしている相手に縦を切られたシーンなど、惜しい場面はあったが最後の判断というか詰めが甘くてアシスト1つのみ。ゴール前で常に脅威を与えるべき選手としてはまだまだ課題が残る出来。

酒井宏樹は原口に苦労はしていたが何度か良い攻撃参加、クロスもあってまずまずの出来。清武はPKは決めたものの、2回はあった決定機に決められなかったのは残念。と言うか、後半の”清武ショットガン・フォーメーション”の効果を見ると、清武のパスを受ける清武が本当に欲しい(笑)。

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