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「首位ローマ戦での活躍で改めて確認された、長友の大きな勘違い」イタリア・セリエA第11節 インテル-ローマ

現在セリエAの首位に立っているローマとインテルの試合で、長友が先発して勝利したという事で興味深く見てみた試合だったが、腐ってもセリエAの首位争いをしているチーム同士の対戦だけあって、チャンスの数こそ少ないものの非常に緊張感に溢れた、戦術的にも見応えのある内容だった。

インテルのフォーメーションは、前節のボローニャ戦から採用されている4-3-3。そして1左右のSBはサントンとフアンに代えて、長友とダンブロジオを起用し、1トップはエースのイカルディをサブに回してヨヴェティッチを先発で起用して来た。

この狙いは単なるターンオーバーではなくて、高さよりもスピードのあるSBを置く事で、ジェルビーニョとサラーというスピードマンを抑えることと、どちらかと言うとセンターに構えて動かないイカルディではなく、幅広く動きまわるヨヴェティッチを使って前線に基点を作りたいという狙いがあったのだろう。

しかしローマもインテルの策は見越していたようで、序盤はジェルビーニョとサラーが同じ右サイドに寄って数的優位を作り、同サイドのインサイドハーフであるグアリンが攻撃に出たがる上に、マークの受け渡しがあまり上手いとは言えない長友を狙い撃ち、何度かクロスを上げられてしまったが、ジェコの決定的なヘディングをハンダノビッチがきっちり弾くなどギリギリで凌ぐ。

その後はインテルの守備も落ち着きを取り戻し、長友もジェルビーニョとサラー、マイコンの波状攻撃にも粘り強く対応できるようになって試合は膠着状態に。すると31分に長友が左サイドの高い位置からボールを中へ戻すと、ヨヴェティッチの意表を突いたヒールパスでメデルがフリーになり、思い切って打ったミドルがゴールギリギリに決まって劣勢だったインテルが先制する。

後半になるとローマの圧力がさらに高まってインテルは自陣に貼り付けられてしまう。その上先制点を決めたメデルが怪我で退き、代わりに入ったコンドグビアが試合に上手く入れずミスを連発してリズムが作れない。それでもインテルは何度かカウンターになりそうなチャンスは作ったのだが、あと一歩のところでパスミスが起き、逆にクロスカウンターを食らって決定的なピンチを迎えるが、長友の驚異的なスピードでかろうじてカバーという場面が少なくとも2度はあった。

それでもローマの勢いは落ちず、インテルはどこまで耐えられるかと思った後半28分に、長友がドリブルから交わそうとして浮かせたボールを手で止めたピャニッチが2枚目のイエローで退場、これでようやくインテルに余裕が生まれる。マンチーニ監督は、足がつったダンブロジオに代えてラノッキアを投入、相手は1人少ないのに5バックにする慎重な采配でインテルが逃げ切った。

以前のフォーメーションだった4-3-1-2の場合は、SBは基本的にサイドを1人で対応する形が多くなり、そこで高さ負けしてしまうと一気にピンチを迎える危険性があり、長友のような小兵選手は使いにくい面があったのだが、4-3-3だとサイドが厚くてカバーの補完がしやすく、この形がメインになると長友の出番は増えて来るかもしれない。

長友は攻撃的なサイドバックというイメージが定着してしまっているが、だいたいほっといてもオーバーラップはするし、チェゼーナでも守備力て評価を高めたのだから、さらに守備を上達させるのが本来の道だったのに、インテルでWBをやったのとザックジャパンにおける「自分たちのサッカー」ですっかり道を誤ってしまったように思う。それを矯正するという意味でも、守備戦術が雑なプレミアなんかに移籍を考えるよりも、今はマンチーニの元でしっかり守備を勉強するべきではないかと思う。

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