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「バイエルンを完封したフランクフルトの変身は、すでにここから始まっていた」ドイツ・ブンデスリーガ第10節 ハノーファー-フランクフルト

昨日の深夜に行われた、バイエルンとの試合で0-0のドローで耐え切ったフランクフルト。その前節にはハノーファーに対して2-1で逆転勝利をしているのだが、既にその試合で堅守に変身する兆候が見えていた。

それまでのフランクフルトは、中盤ダイアモンドの4-4-2フォーメーションを使うことが多かったのだが、この試合ではハノーファーと同じ4-2-3-1でマッチアップする形を取ってきた。そして日本人選手は3人先発で、長谷部は右SB、清武がトップ下、酒井宏樹も右SBとして出場。

フランクフルトがフォーメーションを変更した狙いは、おそらくハノーファーの攻撃を一手に担う清武対策。試合が始まるとダブルボランチのどちらかが常に清武をマークしていて、いつも以上に清武までボールが渡る回数が少ない。そのため、清武はマークから逃れるようにサイドやボランチの位置まで動いてボールを受けざるを得なかった。

どちらも守備時は4-4のコンパクトなゾーンを引いて動きが少ない展開になったが、前半30分頃からは酒井宏樹が積極的にオーバーラップを仕掛けてハノーファーがサイドを基点にして攻めこむようになるが、本来はSBのオツィプカをSHにして後ろにジャクパを入れたフランクフルトのサイドは固く、ハノーファーもセットプレイ以外にチャンスが作れない。

しかし後半6分に、左サイドでボールを受けた清武が2回の切り返しで相手を置き去りにしてスルーパス、これをクラウスが落ち着いて決めてハノーファーが先制する。フランクフルトにとって残念だったのはこのシーンで長谷部が右SBの位置にいなかった事で、もし彼がいたら清武の動きについて行けていたはずである。

これで有利になったかと思われたハノーファーだが、後半12分と25分に、左サイドからのクロスの折り返しをともにシュテンデラに拾われてゴールという同じような形で逆転されてしまう。1点目はサネの不用意な飛び込みを交わされ、2点目はシュルツの緩慢なコースへのカバーを突いたとはいえ、非常に見事な得点だった。

その後はハノーファーも立て続けに選手を投入して押しこむものの、清武のセットプレイも得点にはつながらず試合はそのまま1-2で終了。それにしても、4-4-2時代はザルでしょうがなかったフランクフルトが、4-2-3-1にしただけであっという間に堅守に早変わりしてしまうのだから、戦術とは面白いものである。

日本人選手については、清武は前述のスーパーアシストがあったとは言え、トラップが乱れたりパスミスもあったりと全体的には低調な出来。ソビエフの不調にも足を引っ張られた。長谷部はいつも通り堅実、安定。何度か良いオーバーラップを見せた。酒井は調子は悪く無いようで守備では何度も良いカバーリングを見せたが、攻撃はフランクフルトの分厚い守りに良さを発揮できずという感じだった。

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