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「原口の1トップという奇策は果たして通用したのか?」ドイツ・ブンデスリーガ第10節 インゴルシュタット-ヘルタ・ベルリン

最近はイビシェヴィッチの活躍で白星が先行、順位を5位にまで上げてきたヘルタ・ベルリン。しかし前節のシャルケ戦でイビシェヴィッチは一発退場を食らってインゴルシュタット戦では欠場、その対策としてダルダイ監督が選んだのは、いつもはウイングで出場している原口を1トップで起用する事だった。

おそらく、ダルダイ監督の狙いは高いライン取りをして来るインゴルシュタットに対し、原口のスピードで裏を取る事だったのだろうが、そのプランは残念ながら上手く行ったとは言えなかった。

ドルトムントとの試合で見たインゴルシュタットは、2-3-2-3のような超攻撃的サッカーを仕掛けて来ていて、それが故にドルトムントには通用せず0-4の大敗を喫してしまっていたのだが、ヘルタ戦のインゴルシュタットは、それとは全く異なる顔を見せて来て驚かされた。

フォーメーションとしては一応4-1-4-1ではあるが、守備時には4-1-3-2のような形になって、ヘルタのDFラインに前線が激しくプレッシャーをかけて前線へのパスを出させない方針が徹底されていた。そして4バックはドルトムント戦ほどポジションを上げず、後ろはほぼ4-1の5人だけで守っている状態だが、それでもカルーとシュトッカーのサイドと原口は厳しくマークされ、なかなかチャンスを作るというところまで行けなかった。

それだけに、前半11分に右サイドから左へ大きく展開し、プラッテンハルトがファーサイドにクロスを上げ、カルーの折り返しをオーバーラップで上がって来たヴァイザーがボレーで先制点を決めた事がヘルタにとっては大きかった。

後半になってからは、さすがにインゴルシュタット相手に原口の1トップは機能しないと悟ったのか、カルーが1トップの位置に上がって原口が左サイドに回る形が見られるようになり、原口もボールを持ってプレイする時間が増えるものの、徐々にインゴルシュタットがペースを握るようになってまた守備に埋没。インゴルシュタットは終盤に何度も決定的なチャンスを作るものの、GKヤースタインがナイスセーブを連発して得点を許さず、ヘルタがかろうじて逃げ切りに成功した。

とは言え、インゴルシュタットのサッカーは本当に見事だった。残念ながら点取り屋がいないので得点自体は少ないが、ドルトムント戦以降は1試合で2失点以上している試合が無く、ハードワークをしながら攻撃的にも守備的にも切り替えられる戦術は今期のブンデスリーガ随一とも言える。オーストリア人のラルフ・ハーゼンヒュットル監督が、これからどういうキャリアを経て行くのか楽しみである。

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