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「マフレズだろうが岡崎だろうが、ラニエリ監督にとってトップ下は”捨て駒”」イングランド・プレミアリーグ第10節 レスター・シティ-クリスタル・パレス

先発で使われながらもなかなか得点が挙げられず、この試合ではついにトップ下の先発は岡崎からマフレズに交代、そしてレスターは待望のクリーンシートで勝利を挙げる事になった・・・と書けば、マフレズが岡崎よりもよほど目立った活躍をしたかのように思えるのだが、実際はほとんど変わらないどころか岡崎よりも守備をしない分、さらに存在が消える始末だった。

とにかくレスターの攻撃にはビルドアップという言葉が無くて、DFはロングボールを蹴るかボランチやSBに平凡なショートパスをつなげるだけで、チャンスらしいチャンスはたまたま中盤でボールを奪って、シュルップとオフブライトンがサイドへ飛び出すか、ヴァーディがDFラインの裏を取るかの形しか存在しない。そして彼らは9割の確率で自分がシュートを打って終わるので、トップ下がボールに絡むとすれば、たまたま彼らが相手の守備と交錯してボールがこぼれた時ぐらいである。

つまり、このサッカーではトップ下の仕事は中盤でのボール奪取に貢献し、しかもゴール前まで献身的に詰められるかが重要なのだ。この試合で岡崎の前には先発のマフレズ、後半からはポジションチェンジでシュルップがトップ下に入ったが全く攻守に絡めず、逆に後半18分から投入された岡崎は、何度もボールにタックルを仕掛けて守備を助け、相手がパワープレイを始めるまではしっかり存在感を発揮していた。今回のレスターがクリーンシートになったのは、岡崎を先発から外したせいではなくてたまたまクリスタル・パレスの攻撃がしょぼかっただけである。

クリスタル・パレスは一応ゾーン・ディフェンスっぽいスタイルは採っているものの、守備から攻撃の切り替えが遅くて、DF陣はせっかくカウンターになりそうな場面でも立ち止まって足元でボールを捏ねるシーンが多く、攻撃の形といえばサコのフィジカルと突破力頼みと、レスターと同じ方向性でさらに完成度の低いチームだった事が助かった。

もともとインテル時代もそうだが、ラニエリ監督は手っ取り早くゾーン・ディフェンスを整備する能力には長けているものの、攻撃については選手を配置した後は自分から何か手を入れるという事がほとんど無いので、個人個人のコンビネーションはあってもチームとして目指す方向がなく、そのため時間が経っても上積みが少なく、怪我やコンディション低下でメンバーが入れ替わると失速するパターンに陥りがちで、それがラニエリの長期政権が持続できない原因だと思っている。

今のレスターは完全にヴァーディスピードを中心にした攻撃で固まってしまっており、それでも後半15分に相手のミスパスをカットしたマフレズからのスルーパスを一発で決めたように、今は彼が異常な決定力を発揮しているから何とかなっているが、相手も徐々に対策を施しつつあり、ヴァーディが不調に陥ったら一気に歯車が逆回転する危険性が高い。

それを打開するキーとなりそうなのは、やはりテクニックに長けたマフレズの存在。前半のトップ下では全くダメだったが、後半から右SHに移るととたんにイキイキとプレイし始め、ヴァーディのアシストを記録する活躍ぶり。基本的にセルフィッシュな選手ではあるが、適当な行って来いパスしか出せない味方にあって、岡崎が活きるとしたらやはり彼からのボールに頼らざるを得ない。是非次の試合では、岡崎とマフレズの共存をお願いしたいところである。

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