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「もはや”守備の人”となってしまいつつある香川」ヨーロッパリーグ グループC カバラFC-ボルシア・ドルトムント

アゼルバイジャンと紛争問題を抱えているアルメニア国籍のムヒタリアンにはビザが発給されなかったが、それ以外はほぼベストメンバーでカバラのアウェイに乗り込んだドルトムント。

しかし試合の立ち上がりこそ相手を押し込んだものの、それで気が緩んでしまったのか、前半5分からはフンメルスがヘディングを後逸、ソクラティスとフンメルスのマークが甘くて楽にポストプレイされ、パク・チュホがあっさり裏を取られたりで、少なくとも4回の決定機を相手に与えてしまった。ギンターのナイスカバーでその内2回は命拾いをしたが、ここで先制点を取られてしまうと非常に厳しい展開になってしまうところだった。

ガバラのカウンター戦術は非常に組織されており、長めの縦パスやロングボールをペレイラとアントノフが前線で受け、そこから素早く中盤がフォローしてSHのドドーとゼニョフがドルトムントのSBの裏を鋭く突いて来る。

さすがにトゥヘル監督もすぐさま戦術を修正する。ロイスと香川が居る左サイドに相手の守備が偏っていたのに、そこにパク・チュホまで上がって交通渋滞を引き起こしていたのを、ロイスがトップ下のようにバイタルを自由に動いてマークを分散させ、香川とパク・チュホが動けるスペースを作る。そして相手の守備が左に寄ったところをギンターがフリーでオーバーラップ、そこを基点にしてドルトムントがペースを握り返す。

すると31分に、左サイドで香川が絡んでロイスからオーバメヤンにパスが渡ると、オーバメヤンはかつてのアンリ張りに右足首をスナップさせてカーブをかけたゴラッソをファーサイドに決めてドルトムントが先制、その7分後にはボールが相手に当たったとは言え、香川とワンツーのような形になって抜けだしたオーバメヤンが2点目を決め、これで一気にドルトムントは展開が楽になる。

後半18分に、ピシュチェクとベンダーが投入されると、ベンダーがCBになってギンターがボランチ、そして香川がトップ下の4-2-3-1という形になる。運動量のある香川がトップ下でパスの出しどころを抑え、ダブルボランチで守備を安定させる狙いがあったのだろう。

ただ、香川自身は相変わらずトップ下ではやや空回り。前に走り込むのはいいのだが、動き出しのタイミングが早すぎて周りと合っておらず、また飛び込むスペースもわざわざ狭いところに入って行くので余計に味方からパスが出て来ない。サイドだと香川の細かい飛び出しは効果的なんだけど、トップ下での動き出しはクロップ監督時代からあまり上手とは言えなかったが、最近はIH起用が多くなって余計に勘が鈍っているように見える。

おそらく、もともとはそういうイニエスタ的プレイヤーが適性だったのかもしれないが、この試合でも開始直後に強引なドリブルを1度見せたぐらいで、後はひたすら動きまわってバランスを取りつつパスをさばくプレイに終始。それがチームオーダーとはいえ、もうちょっと強引に点を取りに行く欲があっていいのではないかと思うのだが・・・

試合はそこからガバラの運動量が落ちて来たのもあってドルトムントが終始試合をコントロール。オーバメヤンがミドルのこぼれ球を押し込むハットトリックでダメ押しを決め、ロスタイムに誤審で与えたCKから1点を返されてしまったがドルトムントが3-1で快勝を飾った。

まあこの試合のアタフタを見れば分かる通り、守備の集中力不足は相変わらずで、怪我明けのロイスに調子が戻ってなくて決定力はオーバメヤン頼みと、シーズン序盤の安定度に比べると全体的な調子が低調な時期に入っているように思う。シャヒンは怪我の回復が遅れているが、左SBのレギュラーであるシュメルツァーも復帰したので、週末はしっかり勝って弾みを付けたいところだ。

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