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「優勝候補同士のがっぷり四つはスコアレスでも見応えあり」UEFAチャンピオンズリーグ グループA パリ・サンジェルマン-レアル・マドリー

ここまでリーグ戦無敗、チャンピオンズリーグでも2戦2勝とともに好調なパリ・サンジェルマンとレアル・マドリー。しかしレアルはベンゼマ、ベイル、ハメス・ロドリゲスといった主力を怪我で欠き、モドリッチもようやく復帰したという野戦病院状態で、ベニテス監督はどういう方策を取ってくるかと思ったのだが、いかにも彼らしい手堅さでまとめて来た。

レアルのフォーメーションは4-4-1-1で、1トップはクリロナでトップ下にはイスコが入り、後ろの4-4ブロックで手堅く守りつつ前の2人はフリーロールで幅広く動いて基点になり、左右のSHに配したヘセとルーカス・バスケスといった運動量豊富な選手がカウンターでサポートするという形。

それに対してPSGは4-3-3で、前線はカバーニ、イブラヒモビッチ、ディ・マリアと強力なアタッカーを並べた形だが、守備免除をされているのは前線のイブラヒモビッチぐらいで、カバーニとディ・マリアは献身的に自陣まで守備に戻り、マテュイディ、ティアゴ・モッタ、ヴェッラッティの中盤は非常に安定感があってレアルの守備網をワンタッチのパスで交わして行く。特にヴェッラッティが、こんな良い選手だったっけ?というぐらいに攻守で効いている。

試合の前半は、クロースの正確なサイドチェンジとイスコのドリブルによる局面打開を中心に試合を優勢に進めていたが、ヘセやカセミロ、そしてクリロナのシュートはGKトラップがナイスセーブで防ぎ、40分過ぎのカセミロとクリロナの決定的なシュートは枠を外れて得点ならず。

逆に後半はPSGのペース。アンカーのティアゴ・モッタがほぼイスコのマンマークに付き、クリロナもCBがきっちり監視してレアルの基点を抑えこむと、カバーニとディ・マリアに代えてパストーレとルーカスを投入してサイドを活性化させ、PSGがレアルを攻撃で圧倒する。しかしPSGは頼みのイブラヒモビッチが精細を欠き、レアルもGKナバスが堅実なセーブでPSGの攻撃を防いで試合はそのままスコアレスドローで終了。得点こそ無かったが、戦術的に見応えのあって全く退屈しなかった内容だった。

しかし改めて驚いたのは今期のPSGの強さ。現役のアルゼンチンとブラジル代表が交代で出て来る選手層の厚さもさる事ながら、攻撃も守備も安定感が素晴らしい。イブラヒモビッチが好調を維持できれば、間違いなくチャンピオンズリーグの優勝候補になるだろう。レアルは何とか勝点1を確保したものの、ベンゼマを欠くと得点源がクリロナだけになってしまうのは不安材料。今期は今のところ好調ではあるが、いざ調子が落ちて来ると、ベイルの存在価値などで再び騒がしいシーズンになってしまうのだろうか。

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