サイトアイコン 旧閑ガゼッタ

「岡崎が苦しんでいるのは、プレミアリーグにおける抜きがたい攻撃の”文化”」イングランド・プレミアリーグ第9節 サウサンプトン-レスター・シティ

ここ最近は、先発はするもののボールに絡む事は少なくて主に守備で走り回り、前半のうちに試合が劣勢になると後半からは別の選手に交代させられ、反転攻勢の逆スイッチとして使われてしまっている岡崎。

この試合でも前半のうちにサウサンプトンがセットプレイから2点をリードしたところでルーチン通りのハーフタイム交代、そして後半にエースのヴァーディが2点を取ってまたもレスターが得意の展開でドローに持ち込んでしまった。

ただ、プレミアリーグで岡崎がプレイで関与できない本当の理由は、単に岡崎が味方から無視されているという理由ではない。サウサンプトン戦の前半も、岡崎のところにはヴァーディ以上に味方からボールが来ていた。問題は、それを岡崎がマイボールに出来ない点にある。

プレミアリーグの場合は攻撃のスピードが速いと言われているが、その激しく攻守が切り替わる中で正確なパスを足元に出せる選手はあくまでもビッグクラブに限られていて、レスター・シティのようなクラブにいる選手の場合は、おそらく相手のマーカーがいるいないに関わらず、味方のいそうな場所にボールを蹴っている可能性が高いと思っている。

特にクロスなんかがそうで、清武や中村俊輔が出すようなピンポイントで頭を狙うふんわりした軌道というものがプレミアでは皆無で、適当な誰かがゴール前に飛び込んで体に当てれば決まるだろうというシュートまがいの弾丸軌道ばかり。

だから、プレミアにおける前線の選手に求められる能力は、そういう高さもコースも強さもアバウトなボールが来ても競り勝てるだけの絶対的な高さやフィジカル、スピードであって、残念ながらどれも岡崎には足りない要素だったりするわけだ。あくまで岡崎の武器はスペースを見つける能力と一瞬の動き出しなので、そのタイミングで精度の高いボールが来ると得点を決められるけど、特に相手も元気な前半はそういう機会がほとんど無いというジレンマ。

象徴的だったのは前半17分の場面で、岡崎がポストプレイでボールをボランチに返し、そのボールがまた岡崎に渡ったのだが、その間に味方は完全に動きを止めてしまっていた。これがドルトムントだったら、パス交換の間に周りの選手がどんどん動き直してそこからパスが繋がって行くはずなのだが、レスター・シティには攻撃の作り直しという文化が全く存在せず、攻撃とは一発の勢いでシュートまで行くものだという概念がこびりついているのだろう。

後半にサウサンプトンが逃げ切りを図って全体が引いてしまい、レスター・シティがセカンドボールを拾ってのクロスなど連続攻撃を仕掛ける時間帯があったが、もしその時間に岡崎がいれば何度かシュートチャンスは作れたはず。しかしまだ岡崎にはそこまでの信頼が置かれていない・・・

残念ながらこのまますぐに岡崎の状況が改善されるとは思えないが、1つ手がかりがあるとすればヴァーディとのコンビネーションだろう。中盤から後ろのアバウトなパスに頼るのではなく、2トップの相方という近い選手からのパスであれば可能性はまだ高く出来る。もっとも、そのヴァーディ自体が自分でシュートを打つことしか今は考えてないわけだが、そこさえ何とか改善できればと思う。

吉田については、岡崎がピッチから去った後の60分頃から右SBで出場。比較的前からチェックに行ってレスターの勢いを防ぐ役割を果たしていた。2失点目の場面では吉田が先に後ろへ下がってしまってラインが崩れた隙をヴァーディに突かれてしまったが、あの場面での対応としては仕方なかっただろう。フォンテとヴァン・ダイクの壁は厚く、当面はSB起用になってしまうが頑張るしか無いね。

モバイルバージョンを終了