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「このドイツに比べれば、シンガポール戦の日本なんてまだ運があった方」EURO2016予選 グループD アイルランド-ドイツ

序盤こそやや躓いたものの、順調に勝ち星を積み上げていたドイツ。この試合で引き分け以上だとユーロ予選の突破が決まるはずだったが、ホームのアイルランドに対してまさかの敗戦を喫してしまった。

そのアイルランドがどういうサッカーをして来るのかと興味深く見たのだが、何とフォーメーションは中盤トライアングルの4-3-1-2という極めて攻撃的な布陣。対するドイツはゲッツェとミュラーが2トップを組む4-4-2という形。

当然、こうなるとアイルランド中盤の3枚の両脇をドイツが使う形になり、序盤からドイツはサイドから攻撃を攻め立てる。おそらく、アイルランドとしてはサイドを捨てても中央を固めてカウンターから前3人で得点を取るというプランだったのだろう。

しかしさすがにアイルランドもこれでは持たないと思ったのか、前半の中頃からはトップ下のフーラハンはほぼボランチとして真ん中のスペースをカバー、3センターの両脇に出来るスペースへの対策としては、FWのウォルタースが中盤、時にはSBの位置にまで下がってサイドを埋めて対応するようになった。これである程度守備は安定したが、せっかくカウンターのチャンスになっても前の人数が足らずにスローダウンを余儀なくされ、点を取れる気配も消えてしまった。

そしてドイツにとって誤算だったのは、前半の終わりにゲッツェが負傷退場してしまった事。代わりにシュールレが入ったが、シュールレはサイドの選手であって前線ではあまり基点となるプレイが出来ず、前半に訪れた決定機も外してしまった。が、まだこのあたりでは笑顔を見せるなどドイツには余裕があった。

後半からはアイルランドが前に出て来て、前半の調子でサッカーをしようとしたドイツにミスが生まれ始める。アイルランドの守備も、中盤から後ろの選手は早めにマンマークをしてドイツの目まぐるしくポジションチェンジをする前線の4人に食らいつき、ドイツが押しながらも拮抗した展開になる。

すると後半25分に、シェイ・ギブンの負傷で入ったアイルランドGKランドルフがパントキックを放つと、マーフィーに代わって入っていたロングがボアテングとフンメルスの間を抜け出し、何とノイアーの腕を抜いてゴール上に突き刺すゴラッソ、まさに本当のワンチャンスをものにして先制してしまう。

ドイツは引きこもるアイルランドを徹底的に攻め立て、サイドチェンジを基点にしてトライアングルを作って攻めこむものの得点には至らず。77分にはPA内でどフリーになったミュラーがこぼれ球を蹴りこむものの、バイエルンでは10回打って9回は入れるようなイージーなシュートを外してしまう。最後はアイルランドがコーナーでボールをキープしまくって試合終了。アイルランドがドイツに勝ったのは実に59年ぶりという快挙である。

ただ、ドイツは負けたとはいえ2位のポーランドも引き分けに終わったので、まだグループの首位は1点差でドイツがトップ。最終節はグループブービーのジョージアとホームでの対戦なので、予選突破はまあ間違いないだろう。逆に2位と3位で勝ち点が並んでいるポーランドとアイルランドは本大会ストレートインがかかった直接対決で、熱い試合になりそうだ。

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