サイトアイコン 旧閑ガゼッタ

「前半の苦戦に見る、日本代表のメンタル的な成長」ロシアW杯アジア2次予選 グループE シリア-日本

ここまで3試合全勝の無失点と、間違いなくグループで最大のライバルであるシリアと直接対決という大一番は、前半こそ相手の固い守備に苦しめられたものの、後半にPKをもらってからは一気に畳み掛け、終わってみれば3-0の快勝で日本はようやくグループ首位に立つこととなった。

シリアの出方が分からないと試合前に選手は語っていたが、フォーメーションこそ4-4-2ではあるものの、やはり予想通りに岡崎、本田、香川の3人にはベッタリとマンマークを付けて来た。

日本はそれに対して正直に縦パスを入れてから攻撃を組み立てようとするが、彼ら3人へのボールはマーカーに潰されてポストが出来ず、乾いてでこぼこ、長い芝のピッチに足を取られるせいかパスミスが多く、徐々にビルドアップが臆病になって苦しくなってはロングボールを蹴って跳ね返されるという悪循環に陥ってしまう。

試合前の展望で、3人へのマークが予想されるから原口がキーポイントになるだろうと書いたが、その原口は守備はそれなりに頑張ってはいたのだが攻撃になると縦を抑えられていてボールを受けられず、ほぼ長友のオーバーラップの囮だけのような働き。そして槙野は変に前へと持ち上がってはボールをロスト、酒井高徳も山口も展開パスを出せる選手じゃないし、長谷部はクラブでの不調を引きずる出来で、とにかくどこにボールを預ければ良いのか日本の守備陣全員が迷っていた。

ただ、そんな悪いリズムの中でも香川や本田、岡崎には焦りの色が無かったのは意外だった。今までの日本であれば、マークを剥がそうとやたらとポジションチェンジを繰り返しては守備のバランスを崩したり無駄な体力を使っていたのだが、「こういう流れの時はしょうがないよね」とばかりに淡々とプレイし、何度か自分たちのミスから危険な場面はあったが相手の決定力不足に助けられて無失点で前半を終われた事が大きかった。

そして後半になるとハリルホジッチもしっかりチームを修正する。まず縦パス偏重だった攻撃をサイド主体に変更し、本田を中央に寄せて長谷部がワイド気味にポジションを取る4-3-3風の形にして来た。その策が早速的中し、本田が居なくなった右サイドのスペースに長谷部が浮き球のパスを送ると、そこに走り込んだ岡崎が後ろから倒されてPK。これを本田が落ち着いて決めて日本が先制する。

これで当然シリアはマンマークを捨てて前に出て来るのだが、そうなると今まで抑えられていた香川が自由になり、シリアの運動量が落ちた事もあってそこからは日本がやりたい放題。畳み掛けるように宇佐美を投入し、21分には左サイドをドリブル突破した香川からの股抜きパスを岡崎がゴールネットに突き刺し、43分には清武のスルーパスから本田、宇佐美と流れるような攻撃でダメ押しの3点目を決めて試合終了。

原口、山口、槙野と経験値の浅い選手の出来はあまり良くなかったが、そこをベテラン海外組が上手く精神的にフォローしたという試合だった。次はアウェイでの親善試合イラン戦だが、こういう厳しいシチュエーションでプレイする事が選手のメンタルを鍛える良い機会になるので、シリア戦に出場しなかった若手選手を積極的に起用してもらいたいところだ。

モバイルバージョンを終了