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「あのバルセロナが戦術では時代遅れになりつつある現実」UEFAチャンピオンズリーグ グループE バルセロナ-レヴァークーゼン

UEFAチャンピオンズリーグの第2節。前年王者であるバルセロナはホームにドイツのレヴァークーゼンを迎えての試合だったが、メッシを怪我で欠いた影響か前半に先制点を許す展開で苦しみ、何とかスアレスによるゴラッソなどで終盤にようやく逆転、グループリーグ2連勝を飾った。

しかし内容的には後半途中まではレヴァークーゼンのものだった。レヴァークーゼンのフォーメーションは4-4-2で、そんな事をリーグ戦でやってたっけというぐらいに完成度の高い正統派ゾーン・ディフェンスを敷いて来た。

いつものバルサならば、バイタルエリアの狭いゾーンで磁石のようにボールをピタリと足元に止めてからのドリブルで守備を引きつけ、それでスペースが出来たところにパスを通してしまうメッシがゾーン・ディフェンスをあっさり崩してしまうのがパターンなのだが、そのメッシがいないおかげでバルサはなかなかゾーンを攻略できず、相手の運動量が落ちる終盤までは全く有効な攻撃が出来なかった。

メッシの代わりに右ウイングに入ったのはサンドロだったが、メッシと比べるのは気の毒にせよあまりにもボールを受けられず、ダニ・アウヴェスがオーバーラップしようにも基点が無くて右サイドの攻撃が機能せず、イニエスタとネイマールが何とか攻撃を作ろうとするが、レヴァークーゼンにとっては左サイドだけ重点的に守れば良いため、ほとんどスペースが無い中でもがくだけだった。

そしてバルサが苦戦したもう1つの原因はビルドアップの機能不全。レヴァークーゼンはバルサのアンカーであるブスケツに対し、2トップが中に寄ってボールを受けさせないようにし、ラキティッチとイニエスタには高い位置で縦パスを受けさせないようにボランチが常時監視していた。現在の戦術トレンドでは、こういう時にはSBをビルドアップのターゲットにするのが定石なのだが、ダニ・アウヴェスとマテューは前に張り付いたままでフィードを受けようと言う姿勢が少なく、イニエスタが下がってボールを受けてからよっこいしょと組み立てる場面が多かった。

これも通常であれば、メッシがフラフラと中盤まで降りて来てボールを受けたりしてビルドアップに加わり、それによって周りの選手へのマークが分散してボールを受ける事が出来るのだが、その有力なターゲットが減った事でチームとしての組織戦術の希薄さ、そしてあらゆる場面でチームがメッシの個人能力に依存している事を露呈してしまったと言える。

バルサも全く無策だったと言うわけではなくて、後半からブスケツがCBの間に入って3バックのような形になってビルドアップし、ネイマールが中に入ってSBがサイドの高い位置に上がる事で受け手のコースを増やした事が功を奏し、残念ながらイニエスタは怪我をしてしまったが、後半15分から順次入ったムニルとセルジ・ロベルトの活躍で右サイドが活性化、これでプレスの勢いが落ちたレヴァークーゼンをうっちゃる事が出来た。

ただ、それもレヴァークーゼンが途中で何度かあった2点目を挙げるチャンスを物に出来なかったからでもあり、バルサが今後リーガやチャンピオンズリーグで勝ち続けるためには、メッシに依存した攻撃からチーム全体の戦術へと練り上げていくプロセスが求められるように思う。

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