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「清武の進化は、遠藤ではなく意外にも香川の方向へ」ドイツ・ブンデスリーガ第7節 ヴォルフスブルク-ハノーファー96

ここまで6試合で勝ち点がわずか1で、降格圏に沈んだままのハノーファー。今節はチャンピオンズリーグにも出場している強豪ヴォルフスブルクとのアウェイ戦で苦戦が予想されたが、親会社のVWのスキャンダルのおかげか(?)相手の決定力不足に助けられ、ファン・ペルシーのような清武の胸トラップボレーシュートでゲットした得点で追いつき、ドローに持ち込んだ。

ヴォルフスブルクのフォーメーションは、現在流行りのポゼッション型4-1-4-1。攻撃時にSBが高い位置に上がり、アンカーとCBでWの字になってビルドアップ、アタッキングサードでサイドチェンジをしてゾーンの外から攻めるコンセプトはドルトムントとほぼ同じである。

対するハノーファーは今やクラシックとなりつつある守備時は4-4-2でゾーンを組む4-2-3-1だが、ここで何度も書いているように4-1-4-1は4-4-2に対してアンカーとSBがフリーになりやすく、当然サイドをヴォルフスブルクに押し込められて実質的に4-4-1-1のような形になっていた。

ただしヴォルフスブルクがドルトムントと違う点は、CFにはドストという高さのあるストライカーを置いている事と、中盤の構成力がドルトムントに比べると雑で、高額の移籍金で獲得したドラクスラーもインサイドハーフのポジションで戸惑っているようで存在感が薄く、いきおい攻撃についてはアバウトさが目立ち、ドルトムントほど確固した攻撃の形が存在しない。そのため押し込みながらもなかなか得点は出来なかったが、40分にようやくサイドチェンジから右サイドで完全にフリーとなったカリジューリからのクロスをドストがヘッドで合わせて先制する。

もちろんハノーファーはさらに攻撃は悲惨で、DFからの組み立てがまず清武らの前線に届くことがなく、チャンスらしいチャンスはたまたま中盤で良い形でボールを奪うか、相手のミスによるもののみ。ただ攻撃戦術は無くてもチームとして清武にボールを集めようと言う意思はあるようで、たまに清武が前向きでボールを持った時には2人交わしてスルーパスを出したり、左サイドで股抜きからPAへ入ろうとしてファールされたり、まさに孤軍奮闘の働き。

そして後半12分に、右サイドセンター付近でボールを持ったシュミーデバッハから浮き球のロングパスが送られ、ゴール前に走り込んだ清武が胸トラップ、そのボールが落ちる前に右足を振りぬいたシュートがクロスバーに当たりながらもゴールに吸い込まれるゴラッソとなる。

これで勢いに乗ったのかハノーファーの出足がにわかに良くなり、何度か良い形を作るものの時間は続かず。またもやヴォルフスブルクにボールを支配されて決定的なシュートを打たれるものの、GKツィーラーのセーブが冴え渡って至近距離からのシュートを止めまくり、ドルトムント戦で3失点全てに絡んだフェリペが清武と交代した直後にイエローをもらうというお笑いシーンもあったが、何とかそのまま逃げ切って試合終了。

清武はパスセンスはあるけどもシュートが下手でゴール前に入って行かないので、このまま遠藤のようにインサイドハーフかボランチの道を行くのかと思っていたら、いつの間にかゴールに飛び込むしステップワークで抜くドリブルや股抜きの技まで身に付けて、ポストプレイもボールを受けてから素早い切り返しで反転してみたりと、いつの間にか香川のようなトップ下的テクニシャンになりつつあるのは驚いた。あとはシュート力が欲しいところだけど、今の時点で十分ブンデス上位に引き抜かれる価値は十分あるように思う。ドルトムントに行ってギュンドアンの後釜になれば良いと思うのだが、どうだろうか?

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