サイトアイコン 旧閑ガゼッタ

「ザックジャパンよりは戦術の修正力があったマインツ」ドイツ・ブンデスリーガ第4節 シャルケ04-マインツ

開幕から3試合で2勝と好調なマインツが、1勝1分け1敗とイマイチなスタートになってしまったシャルケホームに乗り込んでの試合。ところが、序盤はシャルケの一方的なペースになってしまい、マインツは失点こそ無かったが、前半の20分までで決定機を10回は作られる羽目になってしまった。

その理由は戦術のミスマッチ。新監督にアンドレ・ブライテンライターが就任したシャルケはフォーメーション上は4-4-2ながら、ビルドアップ時にはボランチのガイスが完全にCBの間に入る3バックになり、SBが高く上がる3-1-2-4のような形になる、今流行りの戦術を採って来た。対するマインツは4-4-2。

これはブラジルW杯に置けるコートジボワール対日本の図式と全く一緒で、こうなると4-4-2のマインツはSHとSBが相手とそれぞれマッチアップせざるを得ないため後ろに下がってしまって前線が孤立、2トップはプレスをかけても3枚のCBにかわされてボールを配給され、味方がボールを奪っても各選手が長い距離を稼がないといけないのでボール離れが悪くなり、ゲーゲンプレスをかけてくるシャルケのプレスバックに絡め取られてFWまでボールがなかなかやって来ない。

それでもフンテラールのPKストップを始めとするGKカリウスの奮闘と、どフリーボレーを枠外へ飛ばしてしまったマイヤーなどシャルケ攻撃陣の決定力不足もあってマインツは何とか猛攻を耐え忍ぶものの、37分にとうとうGKからマティプにヘディングを決められて失点してしまう。

しかしここでマインツは戦術を修正。2トップが3人のCB全部を追うのではなく2人に絞ってマークをし、余った1人はフリーになるのだが、マインツのSHがシャルケのSBをマークするのではなく、SBの位置よりも前に出てCBからのパスコースを切り、アンカーの役割をしていたゴレツカをバウムガルトリンガーがマークする作戦に変更。これでシャルケのビルドアップのラインを限定させる事で落ち着きを取り戻した。

そして42分に、高い位置でボールを奪ったマインツはDFラインの裏に抜けた武藤へスルーパス、武藤はコースが無かったせいかシュートではなくファーサイドに届くクロスを蹴り、追いついたクレメンスのシュートは一旦ポストに当たったが、跳ね返りを中で待っていたマリが押し込み、終始劣勢だったシャルケがワンチャンスをものにして同点に追いつく。

ザックジャパンもコートジボワール戦でこういう変更をしていれば良かったのだが、その時はドログバを投入されて2トップにされ、日本は最終ラインでの数的優位を確保するために長谷部がDFラインに吸収、大迫と本田は3バックにプレスをかけられず、ヤヤ・トゥーレには日本の2列目も引っ張られて余計にサイドをフリーにしてしまい、相手のDFからサイドへとどんどん展開される悪循環を起こしてしまった。いかに、現代サッカーでは戦術の修正能力が大事かという点がこの試合を見るとよく分かる。

ただし明らかに地力で優っているのはシャルケ。これまでのシャルケは、ビルドアップと前線でのポストプレイ、戦術の古臭さがチームのネックになっていたのだが、地味ながらも正確な中距離パスを繰り出せるガイスがマインツから加入し、フンテラール頼みのポストもディ・サントの加入で前線のキープ力が増し、戦術も一気にコンパクトかつモダンになってチームが見違えるようになった。欲を言えばクリエイティビティがあればと思うが、ドラクスラーが抜けてしまったのが何とも痛い。

後半もシャルケが安定した守備力でマインツの攻撃を寸断すると、16分にスルーパスから抜けだしたフンテラールが今度こそゴールを決めて勝ち越し。マインツは31分に左サイドから武藤が抜けだしてシュートを放つものの、GKフェールマンの体に当たって得点ならず、終盤は押し込んで至近距離からシュートを放つ場面はあったがやはりフェールマンのセーブに遭って得点ならず。試合は2-1でマインツが勝利した。

序盤の惨憺たる状況からすると良くマインツは持ち直したが、武藤と息が合っていたハイロが怪我で居なかったのが地味に痛かった。武藤自身は良く走って守備でも奮闘していたが、運動量はいつもよりはやや少なめ、ポストは当たり負けしていて全体的には平均的な出来だったかなと。スピードと運動量だけではなくてもう1つ2つ、明確な武器が欲しいところか。

モバイルバージョンを終了