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「ゲルマンと互角に張り合うスコットランドの勇敢さに脱帽」EURO2016予選 

今回のユーロ予選は、とにかくイギリス4協会の躍進が凄まじい。イングランドは別格としても、ウェールズも北アイルランドも現在グループ首位、スコットランドも前節でジョージアにまさかの敗戦を喫してしまうまでは予選通過ラインの2位に付けていた。

この試合は、スコットランドがホームにグループ首位のドイツを迎えて臨んだ試合だったのだが、何故スコットランドがここまで大健闘しているのかという理由がとても良くわかる見事な内容だった。

スコットランドのフォーメーションは4-1-4-1で、守備時はアンカーがDFラインに吸収されて5-4-1のような形になり、しかもドイツの右SBに入ったエムレ・ジャンが攻撃時にはウイングの位置まで上がっているので、ほとんど6バックのような形になっていた。

それでもドイツがDFラインでパス回しをする時には、中盤から2枚がプレスに参加して高い位置から追い回してプレッシャーをかけ、そこを突破するとすぐさま自陣に戻って守備のカバーリングをし、ボールを奪ったらロングボールで逃げるのではなくガンガンとパスをつないでドリブルで仕掛けるなど、凄まじい運動量でドイツに対して果敢に挑んで行く。

しかしそこはさすがドイツで、フォーメーションの上では1トップがゲッツェ、2列目にエジル、ギュンドアン、ミュラーの3人が並んだ4-2-3-1だが、前線の4人は流動的にポジションを変えつつ、全員がキープ力とパスセンスを持ち合わせているので、厳しいスコットランドのプレスの間を縫って流れるような攻撃を繰り出して来る。

特にアジア予選を戦う日本にとって参考になるのは、5バックのさらに外側のスペースを使っての攻撃で、中盤ではウイングの位置にいる選手がタッチライン際ギリギリをドリブルで持ち上がると、中の選手にボールを預けると同時にSBがオーバーラップ、それにマークが釣られた隙にライン裏へと飛び出してリターンをもらうなど、狭いスペースに相手が居ても関係なしに攻撃を繋いで来る。相手が前を塞いでいたらすぐバックパスで諦める日本とは大違いである。

そして、18分にミュラーがドリブルでバイタルに持ち込み、そのまま打ったシュートがDFに当たってコースが変わるゴールで先制。ここで、試合を見ていたほとんどの人がドイツにはかなわないなと思ったはずだ。しかしスコットランドは少しも怯まず、10分後にまだ頑張ってる元中村の同僚マロニーのFKを名手ノイアーが珍しく弾き、それがフンメルスに当たるオウンゴールになって同点。

34分にはまたもドイツが左サイドの流れるような崩しからオーバーラップしたエムレ・ジャンがシュート、GKが弾いたボールをまたもミュラーが押し込んでドイツが再びリードするが、43分にはCKのこぼれ球をハーフボレーでマッカーサーが叩きこみ、再度スコットランドが追いつくという凄まじい展開。

しかし後半になると、さしものスコットランドもハイペースがたたって中盤のプレスがかからなくなってしまいドイツにボールを回され始める。そして後半9分にギュンドアンが中で持ち上がって右サイドのミュラーにパス、その折り返しをギュンドアンが中できっちり合わせて3点目。スコットランドはそこから選手を投入して反撃を仕掛けるものの、単発が多くて畳み掛けるまでには至らず試合終了。

もしこの本気のドイツと日本が対戦したら、最初は頑張るもののすぐにミスから2-0にされ、意気消沈した後に破れかぶれで特攻、そこから5-0まで離されて試合終了になってしまう未来がありありと見えてしまう。逆にスコットランドと日本が対戦したら、おそらく五分五分ぐらいの試合になると思うんだよね(笑)。

経験の差とは言うけども、スコットランドは98年以来W杯もユーロ本大会も出場していないし、今の海外組が多くいる日本と選手自体の経験はそれほど差があるとは思わない。なのにチームとしてここまで違いが出るのは本当に不思議である。やはりゲルマン人らと古代から戦ってきたケルト人としての誇りもきっとあるんだろうなと思ってしまうのだ。

 

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