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「イングランドが予選で強い理由は、試合が”つまらない”から?」EURO2016予選 グループE イングランド-スイス

ここまでユーロ予選のグループリーグで7試合全勝、本戦突破を早々に決めてしまう圧倒的な強さを見せているイングランド。ホームのウェンブリー・スタジアムで行われた2位スイスとの試合も、ルーニーがボビー・チャールトンが持っていたイングランド代表歴代最多得点記録を更新するおまけ付きで2-0と万全の勝利を飾ってみせた。

「足元をすくわれ」とか「取りこぼし」の代名詞でもあったイングランド代表が、何故こんなに盤石の結果を残しているのか不思議だったのだけど、実際に試合を見てみて何となく合点がいくような気がした。まあ一言で言ってみれば、実に試合が”つまらない”のである(笑)。

イングランドのフォーメーションは4-3-3。試合開始早々にデルフが負傷退場したため、中盤はミルナー、シェルヴェイ、バークリーという並び。シェルヴェイはアンカーだけれども、ミルナーとバークリーは交互にトップ下の位置に入っていたので、実質的には4-2-3-1のような形になっていた。が、たまにミルナーが前線に飛び出したりはするものの、中盤3枚はあまり動かず前線のフォローに入るだけで、攻撃のアクセントはルーニーの動き出しやスターリングの単独ドリブルのみ、SBのショーとクラインの攻撃参加もちょくちょくという感じで、チームとしての崩しの形がほとんど無い。

その代わり守備は安定そのもの。すっかりマンUの大黒柱に成長したスモーリングとケイヒルのコンビは盤石で、ドゥルミッチやセフェロビッチ、メーメディ等ブンデス中堅の微妙なFWしかおらず、シャチリを抑えられてしまうとほとんどチャンスしか作れない。結局スイスはシュート数がわずか5本、そして枠内シュートが1本という寂しさで、それもイングランドGKハートにしっかり防がれてしまった。

イングランドは枠内シュートこそ7本と多かったが、スイスのコンパクトなゾーン・ディフェンスに阻まれて決定的な崩しの場面が作れず、結局精度を欠いたミドルシュートのような形ばかりで得点には繋がらず。しかし後半13分に途中出場したハリー・ケインが、左サイドから流れてきたグラウンダーをダイレクトで豪快に決めて均衡を破ると、39分にスターリングが獲得したPKをルーニーが決めて2-0。

まあとてもイングランドらしくない、固く守ってFWの決定力で勝つサッカーでユーロ本大会も行くんだろうけど、ルーニーやハリー・ケインだけじゃなくて、怪我前は好調だったスターリングもFWには控えているわけで、中盤でもう少しゲームが作れるようになると本大会でも本命視されるようになるのではないかと思う。

スイスは2位キープながらも3位のスロヴェニアに勝ち点3まで迫られた。後の対戦でスロヴェニアとの直接対決がなく、比較的楽な相手なので予選通過は堅いとは思うが、18歳のFWエンボロがよほど大ブレイクでもしない限りは本大会でも厳しそうである。

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